【シシリアンディフェンス/Sicilian Defense】ナイドルフ・ドラゴン

【シシリアンディフェンス/Sicilian Defense】ナイドルフ・ドラゴン
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シシリアンディフェンス/Sicilian Defenseには多くのバリエーションがあり、引き分けではなく勝利を目指していく黒番の人気のオープニングです。

ここでは人気のあるナイドルフバリエーションとドラゴンバリエーションのよくあるラインについて意図を解説します。どちらか気に入った方で遊んでみてください。

チェスはチェックメイトすることが目的です。
勝ちを狙って攻めていくシシリアン・ディフェンスは攻撃的チェスが好きな人におすすめです。

ナイドルフバリエーションの狙いは?

シシリアン・ナイドルフの特徴であるh6は何気ない一手に見えますが、攻・守に非常に価値のある一手です。
・攻め:クイーンサイド側の駒を活かせる
・守り:相手がb5へ侵入するのを防ぐ

シシリアンディフェンス・ナイドルフバリエーション/Sicilian Defense, Najdorf Variationの最重要の一手を説明した画像
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ナイドルフバリエーションの流れは?

白:初手e4はチェスにおいて最もよく指される初手。
黒:初手e4に対して、c5と返します。d4地点をコントロールする意図です。


黒:後から展開するナイトのために、d6により相手のe5へのポーンプッシュを防ぎます。
センターコントロールを強める一手です。


白:d4とセンターへの攻撃。
黒:相手のd4に対してポーンの交換。cファイルがセミオープンファイルとなります。
黒番はa8のルークをcファイルに移動させて攻撃に参加させる手が今後選択肢に入ります。


白:ナイトでテイクバック。
黒:自然なナイト展開(Nf3)をします。
先程のd7-d6のおかげでナイトをポーンで攻撃されません。


黒:ここで最も重要なa6を指します。意図は次の項目で説明します。

「5… a6」の意図は?

守備的意図
下の図の通り、b5は相手マイナーピースの攻撃が集中しています。
特にビショップに侵入されるとチェックされ面倒です。守りのためa6を押さえることは大切です。
他のオープニングでも使える考え方で、a6によって相手の攻撃を予防したいときに使えます。


攻撃的意図
a6をサポート役にすることでポーンをb5に進め、他のピースが動けるスペースを確保する狙いがあります。
これにより、攻撃の幅が広がります。
・ビショップはb2から中央へにらみを利かせる
・ナイトを展開した後、ルークはc8からcファイルで攻撃を狙う

初心者のうちはここまでの内容を知っていれば十分なレベルです。
マイナーピース展開を意識して指してみましょう!

「ある程度オープニングの形は分かっているけど深いところまではお互い理解していない」この状態がチェスを一番楽しめる環境だと思います。
「考えて指す環境」をぜひ楽しんでください!

↓ここまでのおさらい

「5… a6」後のよくあるライン(6. Bg5)

「「5… a6」後のよくあるライン(6. Bg5)」のまとめの盤面へジャンプ

その後Lichessレート1,200~2,000で最もよくあるライン(Bg5)について見ていきます。

黒:ナイトサポートのためにNd7とします。将来的にBe5も狙います。


黒:クイーンを展開しつつ、ビショップ攻撃も狙っています。


黒:ここからビショップに圧力をかけていき、キングサイドでテンポ(時間、ターン)を得ながらスペースを拡大します。


黒:まだキングサイドにキャスリングしていないのでgポーンで仕掛けることができます。
(※注意:すでにキャスリングしている場合は、gポーンプッシュは黒のキング前が弱体化してしまうのでしないほうがよい動きです。)


ポーンでテイクしあった後、


黒:クイーンでビショップを狙います。


黒:キングサイドに展開された相手ピースをナイトで押し返します。
クイーンへの攻撃でテンポを得ることができます。(テンポを得る=自分が好きに使えるターンを得ること、時間を得ること)


黒:ここで相手はクイーンサイドキャスリングをしてしまうとNxe3から、黒ビショップでのピン(Bh6)がクイーンにできるため相手はビショップを逃してきます。


ポーンを犠牲にしたため黒のキングサイドが大きく開いていますが、マイナーピースによって支配できています。

↓ここまでの振り返ってみましょう。

ドラゴンバリエーションとは?

こちらも人気のあるバリエーションのシシリアンドラゴンを紹介します。
ポーンの形が龍座に似ていることから名付けられました。
名前的にもかっこいいので、一度はやってみたくなるオープニングだと思います。

ドラゴンバリエーションの流れは?

「ドラゴンバリエーションの流れ」のまとめの盤面へジャンプ

途中まではナイドルフバリエーションと流れが同じなので、5手目から説明します。
5手目までの流れgif:


g6がドラゴンバリエーションの特徴。
フィアンケット、キャスリングの準備をしています。


白:ビショップ交換のための準備をしています。
黒:ビショップをフィアンケット。このビショップはポーンの後ろから斜めに相手のクイーンサイドへの攻撃を狙っています。また、ポーンの後ろに配置されているので相手の攻撃を受けにくくなっています。


白:後でキングサイドのポーンプッシュのための準備する手です。これをしない場合g2-g4はこちらのナイトでテイクできます。
黒:キャスリングでキングの安全を確保。初心者のうちはここまで知っておけば十分です。
この形を目指して進めていけば十分戦える形になります。


白:ビショップ+クイーンでバッテリーを組みつつ、クイーンサイドへのキャスリングを狙っています。
黒:ナイトを自然な位置に展開。

すぐキャスリングしてくる場合は・・・

白:クイーンサイドへのキャスリング。
黒:ポーンで攻撃を仕掛けます。


ここから大量の交換が発生します。


この場面でルークがタダで取られるように見えますが、気にする必要はありません。


取られた場合、「チェックメイト or クイーンを諦める」のどちらかの選択を白番に迫ることができます。
仮にルークを取ってこなかった場合はオープンになったb,c,dファイルを使ったり、各ビショップが相手のキングを集中攻撃できるように配置しオープンな展開を活かした攻撃ができます。


交換の後、白ルークx2 vs 黒クイーンの戦いになります。

ここまでの流れとその後の展開の一例:

Bb5を避けたい場合の対策

シシリアンディフェンスにおいて面倒な白番の動きがBb5です。
チェックやナイトをピンしてきます。簡単な対策があります。


ナイドルフの特徴だったa6を使います。
先に予防しておくことでビショップやナイトがb5に来るのを防いでくれます。

まとめ

シシリアンディフェンス・ナイドルフバリエーションは多くのラインがありますが、上記のアイデアを知っておくだけで良い展開に持ち込みやすくなります。初手からの数手だけ知っておくだけでe4に十分対応できるはずです。

初手e4に対してe5とするのに比べて盤面が対称になりにくいため、チェスの面白さを引き出してくれる良オープニングだと個人的に思っています。

トッププレイヤーにも非常に人気な攻撃的な黒番のオープニングですので、初手e4対策をしたい人におすすめです。

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