はじめに

●チェスサイトQchessは、実力を高めるための学習・練習に役立つサイト。
紹介しきれないレベルで有用な機能が多く、充実しすぎて怖いくらいです。((((;゚Д゚))))
ある程度チェスを指すようになった人~OTBのガチ勢まで、めちゃくちゃ使えるサイトだと思います。
無料で、登録も不要です。
役立つ機能
すべては紹介できないので、主に役立つと思われるもの、気になったものを紹介します。
Guess the move(名プレイヤーの対局で指された手を当てるゲーム)

Guess the moveは、実際の対局で指された手(または好手)を当てるゲームです。
・自分の動き
・有名プレイヤーのした動き
・ストックフィッシュの動き
を解答後に比較できます。
学びになるだけでなく、「名プレイヤーと同じ手を指せた!」という楽しみも得られます。
使い方
<例1:アナトリー・カルポフの棋譜での問題>

Your turn、自分が指す手を考えて指します。

回答後、
Your move(自分が指した手)、◯◯’ move名プレイヤーが指した手、SF move(ストックフィッシュの手)が表示されます。
Enterか、赤い文字がある枠内をクリックで次へ。

手が一致した場合は・・・
You guessed the best engine move and it was also played in the game.
(あなたはベストムーブを選び、それは実際のゲームでも指されました。)
と表示されます。

Pawn Structure Search(ポーン構造から対局を検索)

Pawn Structure Searchは、ポーン構造を検索できる機能で、特定のポーン構造になった実際のゲームを大量に拾ってきてくれます。
これもかなり便利な機能。
チェスの有料データベースを除けば、拾ってこれるサイトは、ここ以外ほとんどないのではないでしょうか?
QchessまたはLichessで即検討できるのがかなり便利です。
特定のポーン構造ではどのような戦略を取るべきか、実際の強いプレイヤーのゲームを参考にできます。
「自分が使うオープニングが到達するポーン構造での戦い方」のアイデアを吸収できます。
使い方
「Choose from Common Structures」をクリックすると、29種類のよくあるポーン構造が出てきます。
こんな感じ。

例えばここでIQPストラクチャーをクリックして選んでみましょう。
ページ上のボードにポーン構造が反映されました。

必要に応じて、白勝ちのみ、などが選べます。
Searchで検索。

すぐにページ下方に結果が大量に表示されます。
Analyse on Qchess または Lichessを選ぶと、QchessやLichessで 分析できます。

●そもそも各ポーンストラクチャーで何を狙ったらよいかは、英語になりますがChess.comのレッスン、Every Pawn Structure Explainedで学べます。
Model Games(モデルゲーム検索)

●Model Games(モデルゲーム検索)は、モデルゲーム(手本となるゲーム)を探せます。
特定のオープニングにおいて、モデルゲームを探すのは労力のかかります。
そんなときこの機能を使えば、手間をかなり省けます。
モデルゲームをどうやって探せばいいかわからなかった人、手間がかかるので諦めていた人の助けになるはずです。
●探し方:
色とオープニング名を選んで、「Search」。または、FENを貼り付けて検索。
Lichessでも分析できます。

Intuition Storm(良い動きを見つけるゲーム)

Intuition Stormは、「直感的に良い動きを見つけるゲーム」です。
タクティクス問題とは違って明らかな駒得やチェックメイトではなく、ポジションを維持したり、改善したりする手などを見つけます。
●明らかなタクティクスがないとき、好ましい手を選ぶ練習になります。
かなり実戦向きな練習。
時間を相手より消費しがちな人は、時間をかけずにOK move(一番良い訳では無いがそこそこの手)を素早く探す練習に使えそう。
●以下のようにスコアが可算されます。
良い手(ベストムーブから評価値0.3以内): 2 ポイント
まあまあの手(ベストムーブから評価値0.7以内): 1 ポイント
悪い手(それ以外):マイナス 2 ポイント。
●リーダーボード(スコアや順位を表示するランキング)あり。
終わったあと、スコアをリーダーボードに登録できます。(したい人のみ)
ハイスコアを更新したら、リーダーボードに更新したスコアで登録できます。
●Show positionsで、振り返りできます。Lichessでも分析可能。
●「Intuition(直感)」と言っていますが、まずはスコアを気にせず、なぜ良くない手だったのかをチェックして学びを得ることを優先し、慣れてきたらスピードも求めるようにしてみましょう。
●取り組む前に原則や戦略について知っておくのがおすすめ。
全く何もしないよりは取り組みやすくなると思います。
Quiet Moves Drill(クワイエットムーブ、「静かな手」を探す)


●Quiet Moves Drillは、クワイエットムーブ(静かな手)を探す問題が出ます。
クワイエットムーブとは
攻撃やキャプチャをすぐに仕掛けない、比較的穏やかな手のこと。
静かでも将来的な大きな狙いにつながる手が多い。
ピースをアクティブにしたり、ポジションを改善する手などが含まれる。
●すべてのポジションは人間の実際のゲームで起こった局面。
●局面を評価するエンジンの上位3つの手である、チェックやキャプチャではない好手を見つける練習。難しめ。
Intuition stormの問題とは異なり、チェックやキャプチャは含まない。
●通常のタクティクスでは鍛えられない、「何をしたらよいかわからない」となりがちなミドルゲームでの手を考えるのに役立ちます。
●いきなりやると何が良い手か全く検討がつかないと思います。
この練習をする前に・・・
戦略を知る→ストラテジー問題のサイトをある程度やる→「Quiet moves drill」の流れがよさそう。
●見直しするときはQchessのAnalysis(分析)が使えますが、そこからFENボタンからFENをコピーしてLichessなどに移してチェックするのもあり。ちょっと手間ですが。

FENについてはこちらの記事で解説しました。
Maneuvers Flow(GMのマヌーバの例を見れる)
●Maneuvers Flowは、グランドマスター(GM)のゲームから取ってきた、ピースのマヌーバ(配置改善)の流れを多数チェックできる機能。
※スクリプトによって取得されているので、取ってきたマヌーバの質は常にベストとは限りません。
●問題ではなく、ただ単に例をチェックするだけなので気軽にできます。
●マヌーバの例をあらかじめ見ておくと、自分の対局のときにアイデアが浮かびやすくなります。

Winrate Repertoires(勝率の高いラインを抽出できる)

●Winrate Repertoiresは、ユーザーが指定した局面やオープニングに対して、パラメータを指定すれば、「勝率の高い手」または「評価スコアの高い手」をもとにレパートリーをつくってくれる。
評価や勝率の判断は、大量のゲームデータベース(Qchess Elite database)+クラウド上のチェスエンジン評価からきている。
「人が指して勝っている手」かつ「エンジン的にも有望な手」を選ぶ仕掛け。
パラメータ解説
パラメータ(設定値)の調整は自分でやる必要がある。
パラメータ項目の解説をすると、以下の通り。「◯」はパラメータ画面で設定する数値。
・Depth(深さ):
相手の何手目まで考慮するかの数値。大きいほどラインが長くなる。
ただし、他のパラメータによって手の数が制限されるので、入力した数値よりラインは短くなることが多い。
・User move range(自分の手の範囲):
自分側でよく指される上位◯手までに制限する。選ばれた◯手の中から勝率が高いものが選ばれることになる。
・Opponent move range(相手の手の範囲):
相手側でよく指される上位◯手までに制限する。選ばれた◯手の中から勝率が高いものが選ばれることになる。
・Opponent game amount(相手側のゲーム数):
相手側の手において、◯局以上で指された手のみ拾ってくる。
・User game amount(自分側のゲーム数):
自分側の手において、◯局以上で指された手のみ拾ってくる。
・Avoidance move(避ける手):
指したくない手を入れる。(例:d6,e6,f6 のようにカンマ区切りで入力)
・Avoidance time(避ける手数):
上記の指したくない手を◯手まで指さないようにし、◯+1から指せるようにする。
・Engine-proof(エンジンによる保証):
勝率が高くても、エンジンの評価値的に悪いものを除外する条件設定。使いたい場合は「Yes」にする。初期値では0.3になっているが調整できる。
Grimmer AI(マスターのゲームでトレーニングされたチェスニューラルネットワークと対局できる)

●Grimmer AIは、Maiaと同様に人間がプレーするゲームで訓練されたチェスニューラルネットワークです。
マスターのゲームから学んだパターン認識に基づいてプレイし、レーティング2100~2400程度。
ヒントを見ることができる仕様。プレイ中でも学習できます。
AnalysisからLichessでの解析もできます。
●「人と対局をしたい気分ではないけど、対局はしたい」という人におすすめ。
さいごに
サイト作成者がチェスに関することを全部詰め込んでいるサイトです。
チェスの技術的な話以外の内容も含まれているので、チェックしてみると面白いです。
アファメーション(※自分に対して肯定的な言葉を繰り返し語りかけること)の文言が流れてくるページなど、サイトの作者の個性がめちゃくちゃ詰まっています。
このサイトからは、半端ではない開発力とチェスへの熱意が感じられました。
こんなサイトにはこれまで出会ったことがありません。
チェスサイトのティアリストを作るなら、間違いなくSランクに入るサイトだと思います。
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