レティ・オープニング/Reti Opening【チェス定跡】

レティ・オープニング/Reti Opening【チェス定跡】
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初手Nf3から始まるレティオープニングについて紹介します。

レティ・オープニングの特徴は?

初手Nf3から始まるオープニングであるためその後の展開を柔軟に変化させることができます。
例えばクイーンズギャンビットなどのオープニングに移行することもできます。

今回はレティオープニングを採用する目的の一つである、「ハイパーモダンな展開」についての流れを説明して行きます。

クラブレベルでは一般的ではなくマイナーなオープニングであるため、相手の応手がバリエーション豊かになるのが特徴の一つです。

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ハイパーモダンとは?

簡単に言うと、ポーンによって中央を支配するのではなく、遠くからマイナーピースなどで中央を支配しようというのがハイパーモダンの考え方です。

「初手e4、初手d4などで中央を支配していこう」という考え方とは一風変わった考え方で、この概念を知るとチェスへの理解が少し深まります。

※少し進んだ考え方になるので、チェスを始めたばかりの方は基本である「初手e4やd4のオープニング」に先に触れてみることをおすすめします。

例:ポーンでなくマイナーピースなどで中央を支配する。

レティ・オープニングの流れ

レティ・オープニングまとめの盤面へジャンプ

ここからは「ハイパーモダンを意識した」流れを見ていきます。
初手のNf3は初手としては4番目に多く指されていますが、使用率はわずか3%です。

白:ポーンではなくナイトで中央を支配します。


黒:e4とできないのでd4としてくる可能性が最も高くなっています。
白:c4としてd5に圧力をかけます。これがレティ・オープニングです。(1.Nf3 d5 2.c4)


黒:「中央に近い方のポーンはサイドにあるボーンよりも価値が高い」ので、黒はd5ポーンを保持してきます。(2… e6)
白:c4をサポートしつつ、ビショップをフィアンケットするためのスペースを作ります。
上記のハイパーモダンにある考え方に従って駒を展開していきます。

(クリックで開閉)ここでポーンを前進させてきたら?(2… d4)

進ませ過ぎたポーンは守りにくいため、そこに付け込みます。

黒:中央のポーンと外側のポーンの交換を拒否。
白:ポーンで守られないようにc5の地点を牽制します。


黒:ナイトの展開。
白:d4を狙ってビショップでも攻撃を仕掛けます。


黒:d4を守るためのナイト展開。
白:b5でそのナイトを攻撃。d4を手薄にさせます。


黒:退避しつつc4を狙います。
白:d4のキャプチャ。


黒:ナイトがポーンをテイクしてきますが、cポーンとdポーンの交換なので悪くありません。
白:ビショップの道を開いてナイトへの攻撃を仕掛け、テンポを得ます。


黒:ナイトを退避するのに時間を取られているため、黒番は自陣を整備する時間が取れません。
白:b5にサポートを増やすことで、ライトスクエアビショップが自由に動けるようになります。

必要数以上に守り駒を追加することを「オーバープロテクション/Overprotection/過保護」と言います。
攻めよりも1枚多く守りを追加すると、守りの駒が1枚抜けても問題なく守りきれます。
さらに1つの駒はフリーに移動できるメリットがあります。
どのような展開でも使える考え方なのでぜひ使ってみてください。

(クリックで開閉)ここでポーンを取ってきたら?(2… dxc4)

孤立したポーンは弱いので狙い続けます。


白:ビショップの道を開けて取りに行くのが素直な方法です。ポーンを守ってこなかったら素直にビショップで取ればOK。


黒:bポーンで守ってきます。
白:bポーンは守られていないので攻撃を仕掛けます。


黒:cポーンでbポーンを守ってきますが、、、
白:aポーンでキャプチャし、ルークの道が開きました。このルークの前が開いた状態はハーフオープンファイルと呼ばれます。ルークを攻撃に活用するチャンスが広がりました。


黒:ポーンをテイクバック。
白:ナイトを展開し弱点を狙い続けます。ルーク前のポーンをピンしているため、黒番はaポーンで守れません。


aポーンで守ろうとした場合は以下のタクティクスが決まります。
黒番がaポーンでナイトを取るとルークを失います。


黒:d5のサポート、自然なナイト展開。
白:ビショップをフィアンケット。(b2, g2にビショップを置くことを言います。)
ビショップで中央を支配する意図です。


黒:ビショップの展開とキャスリングの準備。
白:さらにライトスクエアビショップもフィアンケットするための準備をします。
ハイパーモダンな考え方にこだわります。


黒:キャスリングでキングの安全を確保。
白:ビショップをフィアンケット。こちらも目の前のナイトが移動すれば中央をビショップが支配できる態勢が整っています。両方のビショップが中央を狙う、慣れない相手にとって見落としも発生しやすい展開になります。


黒:クイーンサイドのスペース確保。
白:キャスリングでこちらもキングの安全を確保。


黒:自然なナイトの展開。
白:d4地点の守りを強化するためにe3。すぐに中央にアタックは仕掛けません。


黒:ビショップの展開場所を確保しつつ、c6のポーンをサポート。
白:クイーンを展開しつつ、ルークの移動場所を確保。


黒:ビショップを展開し白のキング方向ににらみを利かせます。
白:間接的ですがルークをクイーンの前に配置します。これによって盤面が開けたときにルークの攻撃が自然にクイーンに当たることでタクティクスが生まれる場合があります。


黒:クイーンを射線から逃がしつつルーク同士を接続します。ルークをお互いに守らせるのは序盤にすべきことの一つです。
白:ナイトを展開し、ルークの接続をしました。


ビショップはダブルフィアンケットをし、ナイトは中央ににらみを利かせる形がよく見られます。
中央のe,dポーンは展開に合わせ、最も効果的な位置に配置できる柔軟性があります。

レティオープニングまとめ:

まとめ

レティオープニングの良いところは2つあります。

1つ目:レティオープニングにあるハイパーモダンの考え方を知ると、チェスを今までとは少し違った角度で見ることができ、実戦で使わない人もコンセプトを知っておくとどこかで必ず役に立ちます。

2つ目:使用率の低さもあり相手を決まりきった手順(定跡)からできるだけ早く離脱させることができます。

したがって相手の不正確な手を誘えるので、記憶勝負ではなく中盤からの実力勝負をしたい方におすすめのオープニングです。

チェスは程度の大小はあれど、相手の「不正確な手」にいかに付け込んでいくかが重要なゲームです。
違いを生み出す手段として持っておくのも良いでしょう。

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オープニング(定跡)
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