ヴォン・ポピエル・ギャンビットの特徴、狙いは?
ヴォンポピエルギャンビットは、初手d4、ポーンを犠牲にすることで駒展開を加速し相手への激しい攻撃を狙うギャンビットです。
攻撃が好きな人におすすめです。
初手e4で開始したとき、黒番がカロカン・ディフェンスやスカンジナビアン・ディフェンスを狙ってきた場合にはヴォン・ポピエル・ギャンビットへ持ち込むこともできます。
初手e4をメインにしている人のサブウェポンにもなります。
ヴォン・ポピエル・ギャンビットのよくある流れは?
白:ヴォン・ポピエル・ギャンビットは初手d4で開始します。
黒:クラブレベルで最も一般的なd5。白と同等の支配を主張しています。
白:e4により1つ目のポーンを捨てます。(このように優位を得るために駒を犠牲にすることをギャンビットと言います。)
黒:ポーンをテイク。
白:ナイト展開によりe4ポーンを狙います。
黒:ポーンを保持したい意図のナイト展開。
白:ビショップを展開し、ナイトを取る狙いを見せます。仮にナイトをビショップで取れれば、e4の守りがなくなるので白番はナイトでe4ポーンを取り返せます。
黒:ポーンを保持したいのでビショップを展開して守ります。
白:ポーンでも攻撃を仕掛け、黒番に取ってくるよう仕向けます。
黒:ポーンでテイク。
白:クイーンでテイクバック。クイーンは赤丸のビショップとポーンを同時に狙っています。
黒:ビショップとポーンを守るためにビショップを後退させました。(6… Bc8)
白:クイーンサイドキャスリング。ここで相手陣を見てください。ピース展開がほとんどされていない状態になっていません。一方、白番はポーン1つ失うのと引き換えにピース展開・キャスリングまで十分にできています。
(クリックで開閉) ポーンでビショップを守ってきたら?(6… e6)
白:クイーンでポーンを取りましょう。これでポイント的には同点です。
黒:ルークを守るためのナイト展開。
白:ビショップを更に展開します。両ビショップのピンにより相手は快適なプレイができなくなります。
黒:ダークスクエアビショップを展開するためe6で道を開きます。
白:テイクを誘います。
黒:ポーンをテイクした場合を見てみます。(8… exd5)
白:ナイトでテイクバック。
白番のルークはディスカバードアタックの準備ができています。
また、黒番のナイトはピンされているので白番のナイトを取れません。
脅威が多数ある黒番側は非常にやりにくい展開になっています。
(クリックで開閉) ポーンを取ってこなかった場合は?(8… e5)
白:ピンされたナイトを狙ってキングサイドを乱しにかかります。
黒:アンピン。(ビショップによるピンの無効化)
白:ビショップの展開。次々とピース展開をしていくことができます。
この後の展開の一例はまとめの盤面をご確認ください。(スマホの場合は画面を横向きにすると「まとめの盤面」で分岐まで確認できます。)
黒:ディスカバードアタックからクイーンを守るためにナイトでガードします。(9… Nbd7)
白:ルークでチェック。
(クリックで開閉) クイーンを守ってこない場合は? (9… Be7など)
白:ナイトでチェックしつつのディスカバードアタックが決まり、黒はクイーンを失います。
(クリックで開閉) ビショップでクイーンを守ってきたら? (9… Bd6)
白:ナイトをテイクします。
黒:ポーンでテイクバック。
白:ビショップで相手クイーンとルークをフォークできます。黒番のキングサイドのポーン構造も破壊できおり、黒番のキングは安全ではありません。
黒:ビショップで守ります。
白:ビショップをタダで取ることができました。
カロカンやスカンジナビアンからのヴォン・ポピエル・ギャンビットへの持ち込む方法
初手e4を使っている人でもヴォン・ポピエル・ギャンビットを使えます。
初手e4に対して黒番はルイロペスなどを避けたくてカロカンやスカンジナビアンを指してきますが、それを利用して逆にこちらの望むヴォン・ポピエル・ギャンビットに持ち込めます。
<相手のスカンジナビアン・ディフェンスからの移行>
白:初手e4で開始。
黒:ポーンをぶつけてくるスカンジナビアン・ディフェンス。
白:d4とすれば、Lichessの統計上7割程度はe4を取ってくるので、ヴォン・ポピエル・ギャンビットに持ち込めます。
<相手のカロカン・ディフェンスからの移行>
白:同様に初手e4。
以降、カロカンの手順。
Lichessの統計上77%はe4を取ってくるので、ヴォン・ポピエル・ギャンビットに持ち込める可能性があります。
ヴォン・ポピエル・ギャンビットまとめ:
(スマホの場合は画面を横向きにすると「まとめの盤面」で分岐まで確認できます。)
まとめ
駒展開を加速して相手陣に素早く攻撃を仕掛けていくことができるので、攻めの感覚を磨きたい人におすすめです。
細かい分岐の内容を覚えずとも、以下のことを意識していれば攻めを楽しめます。
・相手を攻撃しつつ駒展開をする
・複数の脅威を相手に与えようとする
・ピン、ディスカバードアタックを活用する
正統派のチェスが好きな人もたまにはギャンビットのあるオープニングを使えば、良い刺激になるでしょう!