どう時間を使うか
チェスにおいてタイムマネジメント(時間管理)は大切です。
次の手を考えていると、いつの間にか持ち時間が相手よりかなり減っていることがありませんか?
持ち時間を上手く使うのにも実はコツがあります。
意外と見逃されやすい内容ですが、コツを知って実践すると効果を実感できます。
ここではラピッド、ブリッツについてタイムマネジメントの方法を紹介していきます。
時間を使いすぎると何が起きるか?
<時間を使いすぎた時の悪循環>
1:自分が考える時間を取りすぎると、こちらの持ち時間を使って相手に考えさせることになる。
2:相手の結論がこちらの時間中にで出ていれば、ノータイムで指される。再び自分の持ち時間消費になる。
3:あまりにも長い長考は自分の時間を削るだけでなく、相手の持ち時間を消費させにくくなる。
4:持ち時間が僅かになると読みの時間が減り、ブランダーする可能性が高まる。
時間消費をしすぎると、相手を助け、自分を追い込んでいるわけです。
それでは解決策を見てみましょう!
時間がなくなる人向け
1手にどれだけ時間をかけられるか知っておく
持ち時間と追加時間と平均手数を考えると1手あたりどれだけ時間をかけられるかわかります。
ラピッド、ブリッツでの計算をしてみたので参考にしてみてください。
1手の目安が分かると、ある程度時間を区切って「良い」一手で手番を進めることを考えられるようになります。
ラピッド(15+10):25~30秒
ラピッド(10+0):10~15秒
ブリッツ(5+0):5~8秒
思っていたより1手あたりに使える時間が少ないと感じたのではないでしょうか?
この数字を知っておくだけでも、
「1手◯秒で指さないといけないのに、時間を使ってしまっている!」
と、判断を早める意識が働くので、時間管理の改善に役立ちます。
確実な手を先に考えておく
<計算に時間がかかりそうな時のおすすめ手順>
1:計算が不要で堅実な手を先に考えておく
2:狙いたいタクティクスのラインを検討する
3:タクティクスが上手く行かない場合、「1で考えておいた計算が不要で堅実な手」をすぐ指す。
計算が不要で堅実な手を先に考えておく理由
時間がなくなる原因の1つが複雑なタクティクスのラインを考えて時間消費するパターンです。
検討に時間と集中力を消費し、結局何も良い解決策が見つからなかった後に新しい手を考える人が多いのではないでしょうか?
時間を有効に使うために、計算が不要で堅実な手を先に考えておくのをおすすめします。
散々複雑な手順を検討した疲れの後に別の手を見つけ出すのは大変です。
長い手の検討で時間を消費して何も見つからなかったときは、あらかじめ用意しておいた手を使うという考え方です。
時間をかけるべき時・かけるべきでない時
・時間をかけるべき時:
ベストムーブとそれ以外の差が大きい時です。
→間違えばチェックメイトになる場面などは時間をかけて間違えないようにするべきです。
<1つの手以外は大幅に不利になりそうな場合は時間を使う!>
・時間をかけるべきでない時:
どの手を選んでも大きな影響がなく、相手の手も幅広いとき。
→時間をかけても解決しないので時間をかけずにとにかく指すことを考えましょう。
相手の持ち時間中にも考える
相手の持ち時間中に考えれば、場合によってはノータイムですぐ指せる場合もあります。
持ち時間で有利になり、相手がタイムトラブルになれば相手の精度が落ちるので指しやすくなります。
持ち時間が少ないとき
時間がないときは、ベストムーブにこだわらずに「良いムーブ」程度で良いのでとにかく指しましょう。
いくらベストムーブを見つけても、持ち時間がなくなれば負けです!
ブリッツで早指しに慣れる
ブリッツを使って、短い持ち時間での指し方に慣れましょう。
ブリッツの持ち時間に慣れれば、ラピッドでは比較的余裕を持って指せるようになります。
短い時間でプレッシャーがあるときでも扱いがうまくなります。
深く考えずに指せる手を増やす
深く考えずに指せる手を増やせば全体で使える時間に余裕ができます。
例えば・・・序盤~中盤の知識が少しでもあれば、対局中の時間消費を抑えられます。
・いつも使っているオープニングのよくある展開
・相手が使ってくる苦手なオープニングの出だし数手は何を指したら良いか
・いつも使っているオープニングにはどのようなミドルゲームのアイデアがあるのか
序盤~中盤で時間を使ってしまう人は、オープニング~ミドルゲームに入るまでを少し学んでおくのをおすすめします。
ミドルゲームで何をすればいいかわからない場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。
早く指しすぎる人向け
テイク1択と思える局面で1度止まる
一旦止まって考えましょう。
強制ムーブ(取る一択)に見える部分に何かないか、間にはさめる上手いムーブがないか探してみましょう。
駒の取り合いの手順を前後させるだけで駒得を見つけられる場合があります。
オープニングを自動的に差すのをやめる
オープニングは駒の接触があまりないので、自動的に相手の手を見ずに指してしまう場合があります。
自動的に指すと、相手の不正確な手を見逃してしまい有利になるチャンスを逃してしまいます。
速く指せる人は時間的に余裕があるので、その時間を使って相手の不正確な手を利用する手がないか探すようにしましょう。
駒得したり、局面を有利にできるチャンスが隠れています!
2つ目の選択肢を考える
時間を使わず指してしまう人は、1ついいアイデアが浮かぶとすぐに指してしまいがちです。
1つ良いアイデアが浮かんだら、2つ目も考えてみましょう。
チェスの元世界チャンピオン、ラスカーの格言にも出てくる考え方です。
<ラスカー>
When you see a good move, look for a better one. – Lasker
良い手を見つけたら、もっと良い手を探しなさい。 – ラスカー
早く指しがちの人は持ち時間を最大限に利用しましょう。
より正確な手を見つけられます。
さいごに
持ち時間は対局中のリソースの一つです。
持ち時間が多ければ、より正確な手をさせます。
持ち時間が少なければ、悪い手が増えます。
・時間を消費しがちな人は、ベストではないが堅実な良い手を指すことを考える。
・時間を使わない人は、一度立ち止まってよりよい手を探す。
これらを心がけて持ち時間を有効に活用すれば、バランスの取れた指し回しが身についてくるはずです。