Caro-Kann Defense/カロ・カン・ディフェンス【チェス定跡】

Caro-Kann Defense/カロ・カン・ディフェンス
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白番の初手e4に対して、黒番がc6と返して始まるのがCaro-Kann Defense/カロ・カン・ディフェンスです。堅い守りが特徴で、オープニングは大まかに3+1種類に別れます。それぞれ流れを解説します。

序盤から圧倒されにくいオープニングなので守りを固めたい人におすすめ。
個人的使用感としては、自分の知っている展開になる割合がかなり高い印象です。

チェスのオープニング、カロカンディフェンスの2手目の説明画像

Caro-Kann Defense/カロ・カン・ディフェンスの大まかな流れは?

白:初手e4。
黒:c6とします。
Lichessレート1,200~2,000では、約6%しかc6は指されていません。
相手は慣れていない可能性が高いため、知識では黒にアドバンテージがあるはずです。


白:ポーンを中央に2つ進められるときは2つ並べてくることがよくあります。
黒:相手のd4での中央支配に対して、d5とします。ここがスタートです。
このあと3パターンに分岐します。

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アドバンス・バリエーション (Advance Variation)

アドバンス・バリエーションまとめの盤面へ

アドバンス・バリエーションでは、d4ポーンが攻防のポイントです。
白:e4のポーンをe5と前に進めます。
黒:d4ポーンに攻撃を仕掛けます。

カロカンディフェンス、アドバンス・バリエーション


白:d4をサポート。
黒:相手が取ってくる取ってこないに関わらずナイトを展開します。
d4ポーンに圧力をかけます。


白:d4を守るためにナイト展開してきます。
黒:ビショップを展開してナイトをピンします。
白番のナイトが逃げるとクイーンを取られてしまうため、f3のナイトはd4への攻撃参加ができません。


黒:e3としてダークスクエアビショップの道を開きます。


黒:ナイトをe4に展開します。将来的に赤の矢印のようにd4ポーンに圧力をかけることが目的です。


白:相手はこちらのビショップを取り除こうとしてきます。
黒:ナイトをテイク。これでd4を守るピースが1つ減りました。


黒:ナイトをf5に展開します。するとd4に聞いている黒番のコマが3つあるのがわかります。
それに対して相手は二つしか利いていません。


白:守りを強化するためにビショップでd4を守ってきます。
黒:クイーンでさらに攻撃の枚数を増やし、d4に利いている駒が「黒:白=4:3」となります。
同時にクイーンはb7のポーンも狙っています。


そこから交換により下記の展開へ持っていくことができます。
相手のセンターポーンを孤立させることに成功しています!
流れを確認してみましょう。

エクスチェンジ・バリエーション (Exchange Variation)

エクスチェンジ・バリエーションまとめの盤面へジャンプ

ポーンの交換をしてきた場合は単純なので、シンプルにチェスの基本通り進んでいきます。
最終的に下に似た形に落ち着きます。盤面を動かして見てみましょう。

カロカンディフェンス、エクスチェンジ・バリエーション (Exchange Variation)

自然な駒展開が終わり、勝率は白:黒39%:57%で黒番有利です。
手順はこちら↓

タルタコワー・バリエーション (Tartakower Variation)

タルタコワー・バリエーションまとめの盤面1へジャンプ
タルタコワー・バリエーションまとめの盤面2へジャンプ

白:ナイトでe4ポーンを守ります。
黒:dポーンでテイクします。


黒:ナイトに対してナイトで攻撃を仕掛けます。


白:ナイトでこちらのナイトをテイクしてきます。ダブルポーンにさせる意図があります。
黒:ポーンで取り返します。ダブルポーンになる代わりに、ビショップ展開が早まります。
ダブルポーンと聞くと良くないものと思われがちですが、ここでは必ずしも悪いものではありません。
f~hファイルにあるポーンの塊の一部になっているため、周辺(◯の部分)を隙なく守れていることがわかります。


黒:図のようにビショップ展開とキャスリングをします。
黒番にありがちな窮屈な展開を避けることができています。

カロカンディフェンス、タルタコワー・バリエーション (Tartakower Variation)

ここまで展開できれば、勝率は白:黒43%:50%でイーブン以上に持ち込めます。

ここまでの流れ:


ナイトがf6にいない点を下図のようにカバーする方法もあります。
これによりh7の心配をしなくてよくなります。ナイトを再配置するアイデアを覚えておくと、有効でない駒を最大限活かせる場所に置くことで局面を改善できます。

Nd7という手は赤矢印の通り、相手の動きに合わせて柔軟にナイトを配置できる手です。

こちらは勝率55%なので黒番有利に進められます。

ここまでの流れ:

ちなみに、Two Knights Attackからタルタコワーへ移行できます。

自分の知っている展開に持ち込むことができるので、ラインを覚える手間が省けます。
gif:

Two knights attackからタルタコワー(Tartakower)への移行の様子

ファンタジーバリエーション (Fantasy Variation)

ファンタジーバリエーションのまとめの盤面へジャンプ

このバリエーションは全体の使用率は低いですが、カロカン対策をしてくる人はよく使ってくるバリエーションです。

白:f3として、センターポーンを取り返された場合でもテイクバックできるようになっています。


黒:相手の希望通りポーンでテイクします。


白:テイクバック。
黒:センターへの攻撃に加えてクイーンの道を開ける意図でe4とします。


白:ナイトでd4ポーンをサポート。(※d4-e5とポーンテイクしてきた場合はクイーン交換で相手のキャスリングの権利を失わせることができます。)
黒:ビショップ展開し相手の希望するBc4を防止。


白:e5ポーンをテイクした場合を見てみます。
黒:クイーンでチェック。ポーンとのフォークを仕掛けます。


白:g3とするとルークを失ってしまうので、キングを逃します。
黒:ナイト展開し、e4ポーンに圧力をかけます。


白:ビショップでポーンを守ります。
黒:ナイトでテイク、駒の数が攻撃>守備なのでもちろん相手は守りきれません。


黒:最終的にクイーンでテイク。
白が駒展開がしにくい陣形になっています。
一方で黒はマイナーピース展開が比較的やりやすい形のため黒有利です。

ここまでの流れ:

Tips

タルタコワー・バリエーションのTips

タルタコワーバリエーションでは、展開によっては下図のようにポーンの塊(ポーンキューブ)ができることがあります。

前面の2つをプッシュしても、下2つを守りの壁として使えるメリットがあります。
ダブルポーンが2つあるので明確に悪いかと想像されがちですが、良い点もあるところが面白いところです。

まとめ

黒番の人気のオープニングにはシシリアン・ディフェンスがありますが攻撃的な展開になります。
一方でカロカンディフェンスはまずは守りを固めたい人におすすめのオープニングです。

最初の3パターンを把握しておけば大体の状況に対応できます。
実戦で数をこなして経験を積んでいきましょう。

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