Dutch defense/ダッチ・ディフェンス【チェス定跡】

Dutch defense/ダッチ・ディフェンス【チェス定跡】
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Dutch defense/ダッチ・ディフェンスは、白番の初手d4に対して使える黒番の攻撃的オープニングです。実戦での戦い方を紹介します。
初手d4に対する使用率は2%なので相手は対処法をよく知らない可能性が高いと言えます。

<Dutch defense/ダッチ・ディフェンスの駒組み完成形の一例>

Dutch defense/ダッチ・ディフェンスの駒組み完成形

Dutch defenseの狙い・特徴は?

特に初手d4で始まるオープニングに対して、おとなしい展開にしたくない場合使えます。
fポーンを前進させるのでキングの守りに弱点が生じる欠点はありますが、その代わりfポーンを生かしたキングサイドへの攻めを強化できます。

特にEnglish openingに対してはfポーンの存在が相手に脅威を与えます。
白番はDutch defenseに対して対処方法に悩むことになるでしょう。

ちなみに白番オープニングのバーズ・オープニングはダッチディフェンスのテンポアップ(1手先に指せる)なので、ダッチディフェンスが好きな人は試してみても良いかもしれません。

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Classical Variation/クラシカルバリエーション

白番がキングサイドにフィアンケットする場合の流れ

「白番がキングサイドにフィアンケットする場合の流れ」のまとめの盤面へジャンプ

白:初手d4で中央支配を狙います。
黒:基本的には動かさないほうが良いfポーンですが、それ使って中央のe4を支配します。


白:フィアンケット狙っています。(ダッチディフェンスに対してはキングサイドにフィアンケットをするのが良いとされています。)
黒:ナイトを展開してe4へのポーンプッシュを抑制しています。


白:予定通りフィアンケットしています。
黒:e6によりダークスクエアビショップ展開のスペースを作ります。


白:自然なナイト展開でキャスリングを予定した動きです。
黒:Be7として柔軟に移動できる位置にビショップを置きました。


白:キャスリング。
黒:同様にキャスリング。


白:クイーンサイドの支配を強めるc4。
黒:次のe5で中央への攻撃を考えているため、サポートとしてd6としました。e4-e5の攻撃はダッチディフェンスのポイントです。


白:自然な中央方向へのナイト展開。
黒:a5には複数の目的があります。
・後のNb4のサポート
・後のNb6のサポート
・後のBb4でのスキュア
・相手ポーンのb2-b4を防ぐ
・白番がa3としてくる場合、こちらがa4とすれば白番のbポーンプッシュをしにくくでき、クイーンサイドでの動きを妨げられる


白:ルークをスライドしてe4プッシュに備えます。
黒:Ne4と展開します。f6の地点を開ける意味合いがあります。
ここではダークスクエアビショップが入るスクエアです。
黒番は白番と比べてスペースが少なく、目的のスクエアに駒を置くことができないことがよくあります。それを防ぐために自ら交換を進み出る一手です。


白:クイーンを展開しc3のナイトをサポート。
黒:ナイトでテイク。


これでいくらか黒の窮屈さは緩和されました。
白:クイーンでテイクバック。
黒:ナイトを展開し、次のポーンプッシュの補助をしています。


白:e2-e4として中央に攻撃を仕掛けてきます。
黒:ここでe4をテイクせずに、カウンターでe5とするのが重要です。
テイクしてしまうと相手の前進を許してしまいます。


白:dxe5とポーンでテイク。
黒:dxe5とポーンでテイクバック。キングサイドをポーン2つで支配できています。また、このときd6が空いているのがポイント。


白:ナイトでポーンをテイクバック。
黒:白の不注意によりスキュアを決めることができました。
取り合いの中で自然にビショップの道が開くのは結構見落とされがちなので、武器の一つとして知っておくと有利になります。

<白番がキングサイドにフィアンケットする場合の流れ>

攻めのアイデア

ダッチディフェンスにおいて、下図のようにキングサイドへピースを集中させてチェックメイトを狙ってくのがよくある攻め方です。
クイーンをe8から相手キング近くに展開するので相手に心理的脅威を与えます。

相手のフィアンケットビショップを閉じ込める

ダッチディフェンスにおいて狙えるのが、相手のフィアンケットしたビショップを閉じ込めて実質無効化する方法です。
実質ピースアップ(こちらが駒を多く持っている状態のこと)で戦えます。

<ポーンで相手のビショップを働かなくする>
ポーンによりビショップの利きをブロックするのは有効な手です。

※補足:上図は人為的に局面をつくったので、若干おかしいところがあるかもしれません。ご了承ください。

白番がキングサイドにフィアンケットしない場合の流れ

「白番がキングサイドにフィアンケットしない場合の流れ」まとめの盤面へジャンプ

途中までフィアンケットありの場合と同じ流れです。


白:クイーンズ・ギャンビット的に駒組みしていきます。
黒:一方こちらはクラシカルダッチ。


お互いナイトを自然に展開し、中央への支配をしています。


白:ナイトへのピン。
黒:ビショップでアンピンします。これでナイトが自由に動けるようになります。これをせずナイトが動くとクイーンを取られてしまいます。


白:相手はダークスクエアビショップを活用するため、ビショップを外側に展開した後にe3とポーンを突くことが多いです。


黒:相手のキングの守りが整っていない間に仕掛けます。e4へのナイトの展開はダッチディフェンスでよく使う手法です。


白:ビショップでこちらのビショップをテイク。
黒:クイーンでテイクバック。


白:e4にナイトが居座っているのを排除するためにNxe4とテイクしてきます。
黒:この交換は黒に好都合です。相手のナイトを追い払うことができます。


黒:d5により中央をポーンで支配できています。


黒:中央をポーンで制圧することで黒の使えるスペースを広げることができました。ライトスクエアビショップの利きが発揮できるようになりました!ダッチディフェンスではライトスクエアビショップは遅れて活躍します。


白:キングを守るためにキャスリングをしようとします。
黒:クイーンでキングサイドを狙います。


白:キャスリングで安全を確保しようとする場合があります。
黒:よくある強力なタクティクスが使えます。ナイトがいない場合のキャスリングはこれがあるので、自分がキャスリングするときは「ビショップの飛び込みをされないか?」と確認するようにしましょう。


白:Qxg2#チェックメイトを防ぐためにポーンを前進させるしかありません。
黒:ルークを取ることができました。

<白番がキングサイドにフィアンケットしない場合の流れ>

まとめ

初手d4を指す白番は穏やかな展開を望んでいることが多いです。そのため、ダッチディフェンスで激しい展開に持ち込めば相手は嫌がるでしょう。

黒番はスペースがなくやりにくい場合が多いですが、ここで示したピースを交換してスペースを確保する考え方は他のオープニングにも応用できる有用な考え方です。
ダッチディフェンスを使わなくても、スペースに困ったら試してみてください。

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