イングリッシュオープニングについて、ボトヴィニクシステム(Botvinnik system)と合わせて解説していきます。
堅実でトップレベルでも人気があるオープニングです!
イングリッシュ・オープニングの特徴・狙いは?
<特徴>
初手c4。相手のd5を防ぐ初手から始まります。
後から相手の形を見て最適な位置にd・eポーンを配置できる柔軟性があります。
最初にキングの前のポーンを進めないので最序盤では危険に晒されにくくなっています。
必要があればクイーンズ・ギャンビットの形などにも移行できます。
トップレベルでも信頼できるオープニングとしてよくプレイされています。
English openingで実戦経験を積めば「相手のプランをどう止めるか」考えるトレーニングになるため実力アップにもつながります。
<狙い>
以下のように中央のライトスクエア(d5、e4)を支配しようとするのが、イングリッシュオープニングの狙いの一つです。
完全な初心者が使うには難しいオープニングですが、ある程度チェスに慣れてきたらトレーニング用に使ってみるのも良いでしょう。
イングリッシュ・オープニングの流れは?
白:初手c4はチェスにおいて3番目によく指される手です。黒番がd4を指しにくくなっています。
King’s English Variation (1… e5)
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黒:白が中央を取らないなら中央を支配してしまおうという手です。クラブレベルでは最もよく指される手です。
白:Nc3でd5を阻止する手です。中央の2つのライトスクエアを支配しています。
黒:ナイトをc6かf6に展開してくることが多いです。
白:まずはナイトを展開しておきます。意図は次の手で解説。
白:ここでg3とフィアンケット用のスペースをつくります。
フィアンケットをできるだけ遅らせることで、黒番がc6にポーンを配置できないようにしています。
c6にポーンがいるとフィアンケットしたビショップの利きが最大限には活かされなくなってしまうためです。
これは一つの考え方なので、先にビショップをフィアンケットを優先することもできます。
黒:ビショップは弱点であるf2を狙っています。
白:ビショップをフィアンケットし、g2-a8のダイアゴナル(斜め)を支配しようとしています。
黒:ライトスクエアビショップの道を確保する一手。
白:キャスリングでキングの安全を確保。
黒:同様にキャスリング。
白:後からd4プッシュを狙うためのサポートのため+相手ビショップの利きをブロックするためのe3。
冒頭で説明したように、中央のポーンを後から最適な位置に動かせるのがイングリッシュオープニングのメリット。
展開によって「dポーンをd3 or d4、eポーンをe3 or e4」と適切な位置に配置できます。
黒:ビショップの展開&ピン。
白:相手ビショップをキックしていきます。イングリッシュオープニングではポーンを使ってキングサイドを攻めることがよくあります。テンポ(時間)を得ながら展開を進めることができています。
黒:ビショップを退避。
白:更にビショップを追います。
黒:ビショップを退避。
白:中央へのカウンターを始めます。柔軟に使える中央のポーンのメリットがここで活きています。
黒:ポーンでテイク。
白:ポーンでテイクバック。クイーンサイドの中央をポーンで支配できました。
白:ビショップによるピン。これでクイーン以外はすべてコマが展開できました。
King’s English Variation (1… e5)まとめ:
ボトヴィニクシステム(Botvinnik system)
ここではボトヴィニクシステム(Botvinnik system)を使っていきます。
ボトヴィニクシステムはオープニングを学ぶ時間がない人の選択肢になるオープニングの1つです。
以下の自陣の駒組みを目指すだけで戦える形になります。手順は以下をご確認ください。
白:初手c4、中央のポーンを突かずに柔軟性を残した手です。
黒:ナイトの展開。様々な展開に変化可能な柔軟な一手。
白:ビショップフィアンケットのためのスペース確保。
黒:こちらもビショップフィアンケットのための準備。
白:ナイトを展開し、中央のライトスクエアの支配。
黒:ビショップをフィアンケット。キャスリングの下準備になっています。
白:ビショップをフィアンケットし安全なところから中央のライトスクエアを支配しています。
黒:キャスリングでキングの安全を確保。
白:e4によりd5を更にコントロール。ボトヴィニクシステムに入っていきます。
黒:白番のe5を許さないためd6。
白:ナイトがキング前に展開するのは、f4プッシュなどを考えているためです。
ボトヴィニクシステムでは赤矢印のようにポーンブレイクができる場所があり、展開によって柔軟に手を選択できます。
黒:e5によりe4地点。(6… e5)
白:キャスリングで白番もキングの安全を確保。
(クリックで開閉)ここで(6… c5)の場合は?
6… e5のときとは違うポーンブレイクを狙います。
白:この場合はb4でのポーンブレイクを狙いました。
相手の動きによって柔軟に攻め手を変えていくことができます!
黒:ナイトの展開。e4はボトヴィニクシステムでは穴になりやすいので狙っています。
白:ビショップの道を開きつつc・eポーンのサポート。
黒:ビショップでのピン。
白:hポーンでキック。
黒:ビショップの退避。
白:先程のポーンブレイクの1つであるf4で仕掛けました。
<中盤の攻めのアイデアの例>
これらを選択肢として攻めを考えてみましょう。
・f4、b4でのポーンブレイク。両サイドでプレイできます。
・ビショップとクイーンでバッテリーを組んで、黒番のキングサイドにフィアンケットしたビショップを交換。
・d5へナイトをジャンプ。
黒番がKing’s indian defenseのとき(ボトヴィニクシステム) まとめ:
(6… e5)のパターン
(6… c5)のパターン
まとめ
初手c4のイングリッシュオープニングは、トップレベルでも人気があるオープニングです。
使いこなすのはなかなか難しいですが、相手の応手によって形を変えて対応していくのでポジショナルなプレイを改善するトレーニングにもなります。
中級者以降は使用者も増えてくるオープニングなので、使わなかったとしても特徴や狙いを知っておいて損はないでしょう。