はじめに
チェスをしていると、ビショップのフィアンケットをよく見かけます。
キングズインディアンディフェンス、シシリアンドラゴン、ピルツディフェンス・・・
などに対してどうやって攻めたらよいでしょうか?対策の例をご紹介します。
フィアンケットとは?
黒番を見てみましょう。
ビショップ前のポーンを突き、そのスペースにビショップを配置することをフィアンケットと言います。
フィアンケットの特徴は・・・
・ビショップは安全な位置からダイアゴナル(斜め)に攻撃を狙っています。
・ビショップはポーンの後ろに隠れることで攻撃を受けにくくなっています。
・g6のポーンが出ていることで本来はf6,h6のスクエアが守られませんが、ビショップが入ることで弱点をカバーしています。
フィアンケットしたビショップの後ろで、キャスリングすることがよくあります。
キングの安全を確保する手段です。キング周辺にピースが集まり守りが固められています。
hポーンを使って攻撃する
hポーンをプッシュして崩す方法があります。
キャスリング後、hポーンをさらに前進させます。
ナイトでポーンを取って、一見ポーンのタダ取りに見えますが・・・
ここでルークサクリファイスが好手です。
この局面において、Lichessレート1,200~2,000での勝率は69%で、エンジンの評価値も+2.2と非常に有利になっています。
ちなみに相手側の対策は?
h5とすることで、白番のh4-h5を止めることができます。
※ポーンの進行を止めることはできますが、ポーンは後退できないのでポーン形はくずれたままになります。
ビショップの交換をする。
フィアンケットされたビショップを取り除きたい場合、ビショップとクイーンのバッテリーを組み、交換してしまう手があります。
(※バッテリー:ビショップとクイーン、ルークとクイーンなど縦一直線や斜め一直線で並べることをいいます。)
交換後はキャスリングしたキングのポーン構造が乱れているところもポイント。
キングサイドの弱点につながります。
ちなみにビショップを交換されたくない場合は?
ビショップを交換したくない場合、あらかじめルークを逃しておく手があります。
このようにビショップはh8に逃げつつh8-a1のダイアゴナルの利きを維持できます。
2と3を組み合わせた方法
ビショップを相手が取り返してこない場合もあるため、前述の2つを組み合わせることで効果的に攻められます。
ビショップが黒番のhポーンの前進を邪魔しているところも重要なポイント。
先程同様にポーンがタダに見えますが・・・
ルークサクリファイスをして、
気がつくと1手でチェックメイトのところまできました。
交換されずに残ったビショップが力を発揮しています。
・盤面で流れの確認
ビショップが狙うダイアゴナルをポーンで止める
ビショップのダイアゴナル(斜めのライン)をポーンでガードしてしまえば、ビショップの利きを制限できます。
直接的ではありませんが相手の強みを消すムーブです。
フィアンケットに対するチェックメイト
例1
一見安全に見えるフィアンケットしたビショップの後ろのキングですが、3手でチェックメイトできます。
どうすればチェックメイトできるか考えてみましょう。
クイーンサクリファイスが正解です。
ビショップでチェック。ナイトで守られているのでビショップは取られません。
h6はナイトがカバーしています。
ナイトできれいにチェックメイトできました。
フィアンケットしたキングの前にビショップ、ナイトが配置できる場合タクティクスを仕掛けられる可能性があります。
キング前のポーンが一直線になっていない場合弱点が必ずあります。
ここではg6と突いているためにf6, h6スクエアが守られていないことを利用して攻め駒を配置しています。
例2
次は相手のビショップがいなくなった形です。
相手に手番を渡さずにチェックメイトする方法を考えてみましょう。
正解は・・・・
クイーンサクリファイスでした。
クイーンを取っても、取らずに逃げてもチェックメイトです。
<クイーンを取る場合のgif>
<クイーンを取らない場合のgif>
注意点
状況によって、ここで紹介した攻め方が有効かどうかは変わってきます。
最終的にはこれらの方法を使うのか、それとも別の方法を取るのかは自分で判断する必要があります。
選択肢の1つとして考えてください!
まとめ
フィアンケットの崩し方のアイデアあれば、攻撃の方針を立てやすくなります。
また、対局中に悩む時間も減り、持ち時間を別の部分の読みに使うことができます。
攻撃の引き出しを増やして有利な展開に持ち込めるようにしましょう。