ある程度チェスを指すようになったら、「どうやって中盤を進めたらいいんだろう?」と思うときが来ます。
そんな時、相手の弱点(Weakness)を理解すれば攻めの計画を立てるのに役立ちます。
今回はその弱点はどこにあるのか、それを利用する方法を解説します。
この記事を読むとわかること
・相手の弱点がどこにあるかわかるようになる
・相手の弱点を利用して攻める方法
守られていないピース(駒)・ポーン(Hanging pawn/piece)
チェスは駒の機動力があるので見落としが発生しやすくなっており、初心者帯~中級者まではピースやポーンが守られずに放置されていることがよくあります。
「守られていないピース(駒)」がないか探してみましょう。
タダでピースを取ることができれば大きな優位になります。
ダブルポーン(Doubled pawns)
ダブルポーンとは、同じファイルの上下に2つポーンが重なっている状態を言います。
<ダブルポーンが弱い理由>
・ポーンが他のポーンを守っていないため。
・ダブルポーンの周辺においては相手に侵入されやすいマスが発生するため。
<弱点を利用する方法>
ポーンで守られていないので価値の高い駒でもダブルポーンを攻撃できます。
下の図のようにポーンが攻撃していないスクエアができるので白番の駒が侵入できます。
※補足:場合によってはダブルポーンがメリット+デメリットを持つ場合もあります。例えば中央付近にダブルポーンができると中央を強力にコントロールできるメリットがあります。
※ちなみにポーンの強い形はポーンチェーン(下図)と言って、鎖のようにポーンが斜めに繋がった形状です。ポーンがポーンを守っているので、価値の高い駒では攻撃しにくくなります。
孤立したポーン(Isolated pawn)
孤立したポーンは文字通り「ポーンによってサポートされていないポーン」のことです。
他のポーンによって守られていないので、ピースで狙われやすくなります。
<弱点を利用する方法>
ポーンに攻撃を集中させる。
相手の駒を孤立したポーンを守るために使わせることができるので、ポーンを守っている駒の動きを制限できます。
前進させすぎたポーン(Overextended pawn)
ポーンを前進させすぎると他のポーンやピースで守りにくくなり、相手の攻撃を受けやすくなる弱点があります。
自分がプレーする際はポーンを前進させるメリット・デメリットを考えて進めるか決めることが重要です。
バックワードポーン(Backward pawn)
バックワードポーンとは、別ポーンの斜め後方にあり他のポーンによって守られていないポーンのことです。
このポーンは前進すると白に取られてしまう状態にあります。
<弱点>
・バックワードポーン自体が守られていない弱点。
・バックワードポーンの前のスクエアが弱点となっている。
・バックワードポーンがあると、ピースの利きが守りに割かれて攻めに使いにくくなる。
<弱点の利用法>
・バックワードポーンへの攻撃の集中。
・バックワードポーン自体をすぐに取るのではなく、バックワードポーンの前にある弱いスクエア(上の図ではe5)をコントロールし、ナイトなどのアウトポスト(拠点)ととして利用する方法もあります。
・バックワードポーンを弱点として保持させ続け、展開に合わせてバックワードポーンをキャプチャしていくのも良い戦い方です。
下図のc5にナイトを配置できれば、相手ポーンに攻撃されることなく相手陣地を継続的に脅かすことができます。
下図でc5にナイトを配置できれば、アウトポストに配置したといえます。
ポーン構造がつくりだす弱いスクエア
ポーンを前進させると必ず弱点が発生します。したがってポーンを突くときは細心の注意が必要です。例えば以下のような図ではbファイルにおいてb5は弱点となっています。
これは相手がaポーン・cポーンを進ませすぎたせいで、b5をポーンで守ることができなくなっているからです。
例えばcファイルのポーンがまだ後ろにあれば、cポーンを前進させることでb5地点をポーンで攻撃し守ることができます。
<弱点を利用する方法>
弱いスクエアにナイトやビショップなどを配置することができると、相手の陣地に脅威を与えることができます。
ピンされたピース(駒)、ポーン
チェスにおいてはこのピンという行動が戦況に大きな影響を与えます。
一見ピンされたピースがほかの駒を守れているように見えることがよくあります。
しかし、それは見た目だけでよくよく見てみるとピンされたピースは動くことができず、それによって守られてないピースが存在します。
「ピンされたピースは基本ほかの駒を守ることができない」と考えて盤面をよく見てみましょう。
ピンに関するタクティクス問題を解けばピンに気付いてそれを利用できるようになります。
<弱点を利用する方法>
・ピンされたピースに攻撃を集中させる。 ※下図ではc6のナイトへ攻撃を集中させる。
・ピンされた駒が守っている(ように見える)駒への攻撃。 ※下図ではe5のポーンを攻撃する。
例:c6のナイトはピンされているため動けない。そのためe5のポーンを守れなくなっている。
チェックされる可能性のあるキング
チェックされる位置にあるキングは弱点になります。
<弱点を利用する方法>
キングをフォーク・ディスカバードアタックなどのタクティクスに利用しましょう。
なにか上手い手が隠されていないかチェックしてみる価値はあります。
キャスリングしたキング前のポーン構造
キャスリングしたキング前のポーンは横一列にきれいに並んだ状態が最も堅い構造です。
一方でキング前のポーンが1つ前に動いただけで何らかの弱点が生まれますので、それを利用して攻めることができます。
<h6による弱点を利用する方法>
hポーンへのサクリファイス。
hポーンをgポーンで攻撃する。
などが考えられます。
例としてgファイルに白番のルークやクイーンがいれば、g7はピンされているためh6はタダ取りできます。
<g6による弱点を利用する方法>
gポーン周辺のf6,h6スクエアを利用する。
(クイーンやビショップ、ポーンを配置or遠くから狙う)
<f6による弱点を利用する方法>
f7-g8のダイアゴナル(斜め)をビショップやクイーンで攻める。
h7はナイトで守られていないので弱くなっている。
まとめ
相手の弱点を見つけてそれを利用するために、まずは1項目だけてもよいので対局の際に注目してみましょう。
そうすれば今まで見えなかった相手の弱点が見え、中盤の指す手のアイデアが浮かびやすくなります。
例えばバックワードポーンでは、「バックワードポーンの前のスクエアが弱くなる」ことを知っておくと、中盤に駒の配置を考える際に選択肢として考えられるようになります。
弱点を知ることは攻撃だけでなく、守りの手を考える際にもベストな手を指すのに役に立ちます。
弱点とその理由を理解して自分の対局に取り入れて、レベルアップを目指しましょう。