はじめに

ポーンマジョリティとは、ボード上の特定の場所において、相手より多くのポーンがある状態のこと。
※マジョリティ(Majority):多数派のこと
ポーンが相手より多いことを活かすと、キングへの攻めに使えたり、プロモーションを狙えたり、自分の有利な形に持っていけます。
「部分的にポーンが多いだけでなにか良いことがあるの?」と疑問に思っている人に読んでもらいたい内容です。
【クイーンサイドのポーンマジョリティ】

クイーンサイドのポーンマジョリティ(Queenside pawn majority)とは、クイーンサイドにおいて一方のポーンの数が相手より多い状態のこと。
クイーンサイドにポーンマジョリティは、お互いがキングサイドキャスリングをしていた時、エンドゲームでパスポーンをつくるのに役立ちます。
パスポーンをつくって進め、プロモーションができれば大幅に有利になれます。
以下でクイーンサイドマジョリティの例を紹介します。
クイーンサイド「1 vs 0」のとき

一番単純な例を見ていきましょう。
クイーンサイドで「1 vs 0」です。
相手のキングはパスポーンを止めるために、逆サイドに移動する必要があります。
その間に、相手のキングサイドのポーンを取ってパスポーンをつくります。
後は自分のキングサイドのパスポーンを進めてプロモーションして簡単に勝ち。
これがクイーンサイドマジョリティの強さです。
特にエンドゲームで力を発揮します。
<白番は相手のポーンを狙える>
クイーンサイドのパスポーンの強さがわかります。

以下はStockfish vs Stockfishの例です。
クイーンサイド「3 vs 2」のとき

クイーンサイドのポーンマジョリティを活用すれば、一般のプレイヤーでもストックフィッシュ相手に勝てます。
以下はStockfish vs Stockfishの例です。
自分で勝てるか練習してみましょう!
ミスによって勝ちを逃す余地はあるので、以下のボードで自分でも勝てるか試してみましょう。
・ボード下の「 ⋮ 」から、「コンピュータと練習する」を選ぶと練習できます。
<ポーン1つの場合>
<ポーンが3 vs 2の場合>
あえてポーンから進めるなど、どんなときに失敗してしまうのか知っておくとより理解が深まります。
名プレイヤーの対局例
クイーンサイドマジョリティを活かした戦略を見てみましょう。
ピースと連動させながら、プロモーションへと進めています。
「相手よりポーンが多ければ、計算上パスポーンができる」わけです。
例1:カパブランカ

Frank James Marshall(マーシャル) – Jose Raul Capablanca(カパブランカ) 0-1 (1909/6/23)
例2:スパスキー
Boris Spassky(スパスキー) – Mark Taimanov(タイマノフ) 1-0 (1956/2/01)
【キングサイドのポーンマジョリティ】

キングサイドのポーンマジョリティ(Kingside pawn majority)は、キングサイドにおいて一方のポーンの数が相手より多い状態のこと。
キングサイドのポーンマジョリティは、ミドルゲームなどでキングサイドでの攻めに活用できます。
キングサイドマジョリティであれば、ピースでポーンをサポートして前進させたり、相手の守りのポーンへぶつけることを考えてみましょう。
・スペースを取ったり
・相手のピースを制限したり
・ポーンを交換して守りを弱くしたり
・ポーン構造を乱したり
・オープンラインをつくったり・・・
と相手のキングへの攻めがしやすくなります。
例を見ていきましょう。
名プレイヤーの対局例
例1:アレヒン

Alexander Alekhine(アレヒン) – Frank James Marshall(マーシャル) 1-0 (1925/5/8)
キングサイドのポーンが相手より多いことを活かして、キングサイドアタックを成功させています。
ピースのサポートがあるポーンの前進は強力です。
さいごに
●ポーンマジョリティの活用を知れば、ポーンの多さを活かした戦い方ができるので自分の戦略の幅が広がります。
中盤に何をしたらよいかわからないというときは、「特定のサイドでポーンの数が相手より多いのか少ないのか」をチェックしてみてください。
ポーンの数によって中盤~終盤の方針を決められる場合があります。
戦略については以下の記事でまとめています。
●チェスに慣れないうちは、ピースばかりで攻めがちになる人もいるのではないでしょうか。
そんなときはポーンを活用した攻めを取り入れてみてください。
ポーンマジョリティ以外にも、ポーンブレイクなど、ポーンを活用すると攻めが強力になります。
ポーンについてもまとめ記事をつくっていますので、参考にしてもらえるとうれしいです。
それでは!😊
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