初心者から慣れ親しみやすいイタリアン・ゲームについて、実戦での戦い方をご紹介します。
シンプルで自然な展開から有利な形に持ち込めるオープニングで、初心者の方にもおすすめできる戦い方です。
イタリアンゲームの狙い・特徴は?
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4と展開し、最速でキングサイドキャスリングができます。
チェスの基本を練習するのに最適なオープニングです。
ナイトで中央を狙いつつ、ビショップは相手の弱点であるf7を狙っています。f7を狙うことに焦点を当てた戦い方もあります。
Italian Game/イタリアンゲームでのよくある流れ
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ここでは奇抜なこと・複雑なことはせず、「マイナーピース展開・キャスリング・中央を攻撃」という流れで対局を進めていきます。
初手から見ていきます。
チェスで最もよく指されるe4が初手。中央を攻撃しつつ、ビショップやクイーンの道を開いています。
黒:最もよく指されるe5、狙いは白と同様。
白:ナイトを展開し中央への支配を強めます。
黒:白のナイトにe5ポーンを狙われているので、それを守るNc6。
白:ビショップを中央へ展開し、相手の弱点に狙いを定めています。これがイタリアンゲームの駒組みです。これにより白番はキングサイドキャスリングの準備ができました。
チェスを初めたばかりの方はここまで知っておけばよいでしょう。
このあとフライドリバーアタックに入ることもできます。
黒:ビショップを白同様の狙いで展開しています。
白:c3は後のd2-d4ポーンプッシュをサポートするための準備です。
ちなみにこの局面は「ジオコピアノ(Giuoco Piano)」といいます。
黒:ナイトを自然な位置f6に展開。
白:キャスリングしてキングの安全を確保。d2-d4と突く前にキングを逃しています。
黒:同様にキャスリング。
白:d2-d4と突いて、ポーンとビショップ両方に攻撃を仕掛けます。
このように「突くポーンの斜め後ろから別ポーンで攻撃をサポートし、テイクバックできる形にする」ことはイタリアンゲームに限らずよく使われる方法です。
Lichessレート1,200~2,000において、上記局面での勝率は58%となっています。
黒がキャスリングではなく、Nxe4とポーンを取ってきたら??(クリックで開閉)
その場合はビショップとナイトを交換した後、ポーンを回収してプラスマイナス0にします。
ポーンを取り返し、これで同点。
黒:eポーンでテイク。
白:cポーンでテイクバック。まだ黒番のビショップには攻撃がされています。黒は対応しなければなりません。また、この時c3からポーンがいなくなり、ナイトがc3に入れるようになっています。
黒:ビショップをb6に逃します。
白:ポーンをプッシュし、ナイトを攻撃します。このように価値の低いポーン(1点)で価値のより高いピース(3点~)を攻撃するのがチェスでは強い行動です。ポーンはクイーンに守られているのでキャプチャされません。
黒番の落とし穴(クリックで開閉)
黒番はNa5と逃げてしまうと、ナイトがトラップされてしまいます。
白番は大幅有利になります。
b4で攻撃し、ナイトは逃げ場所がありません。
黒は3点のナイトを失うので大きな損害です。
黒:Ne7と逃します。
白:次は別のナイトをポーンで攻撃。かなりいやらしい攻撃。
黒番は指したい手がさせず、逃げ回るばかりで実質黒の手番を奪っているようなものです。
相手の好きな手を指させないようにすることもチェスでは重要です。
黒:ナイトを退避。
白:またまたポーンで攻撃。dファイルとeファイルのポーンが大活躍しています。
黒:cポーンでテイク。
白:eポーンでテイクバック。
ここが重要なポイントで、d6にあるポーンが相手のd7ポーンを動けなくしています。(Blockade/ブロッケード)
これにより、相手のビショップが外に出られなくなっています。チェスにおいてナイト、ビショップをポーンの外に出すことはやるべき非常に重要なことです。それを阻止されている黒は不利な状況に陥っています。
ここまでの流れのまとめ:
まとめ
イタリアンゲームは初心者からトップクラスのグランドマスターまで、誰もが使用している人気のオープニングです。
特別なことをしなくても、マイナーピース展開・キャスリング・中央への攻撃によって大きな成果を上げることができるのは大きな魅力ではないでしょうか。
様々なオープニングを試した人も、一周回ってイタリアンゲームを試すのもありだと思います。