初手e4に対してd6とするのがピルツディフェンスです。(「パーク」は誤り。)
使用率が3%なので珍しい部類の手と言えます。
ピルツ・ディフェンスの特徴・狙いは?
白番の初手e4に対して相手にあえて中央を支配させ、後からカウンターを仕掛けていくのがピルツ・ディフェンスの特徴です。
白番の狙いに合わせて対応を変えていきます。
King’s indian attack(KID)と似ている部分もあるので、展開によってはKIDの考え方を活用することもできます。
初心者のうちは難しいことは考える必要はありません。
以下の黒番の駒組みだけを目指して進めていけば序盤の形作りにはなり、十分遊べる形になります。
ピルツ・ディフェンスの流れは?
1~3手目まで
初手から3手目までまず見ていきます。
白:初手e4。最も一般的な初手。
黒:d6として次に展開するナイトが邪魔されないように下準備をしておきます。
白:黒が中央を支配していないので、白番はd4として中央を支配してきます。
黒:ナイトを展開し、e4にプレッシャーをかけます。
白:e4を守るナイト展開。
黒:ビショップをフィアンケットするための準備をします。
この後相手の動きによって対応を変えていきます。ここでは3パターン紹介します。
クラシカルバリエーション(4. Nf3)
・キャスリング後にd4をターゲットにしてカウンターを狙っていきます。
白:白番がナイト展開をしてきた時はどうなるでしょうか?
黒:ビショップをフィアンケットします。
白:攻撃的な位置にビショップを展開してくることが多いです。キャスリングの準備にもなっています。
黒:キャスリングします。
白:同様にキャスリング。
黒:ライトスクエアビショップの展開。
黒番はスペースが窮屈になるので外に出してスペースをつくりたいという意図があります。
また、ナイトを排除することでd4の守りを弱める狙いもあります。
白:ビショップ排除のための手。
黒:ナイトをテイク。e4の守りが1枚減りました。
黒:守りがなくなったd4を狙います。
白:狙われているd4をビショップで守ります。
黒:ここでようやくe5として中央にカウンターをしかけます。
白:テイクされないように前進。
黒:白番の嫌な位置にナイトを配置。ここまでくれば窮屈さも緩和されてきます。
ここではd4にナイトを展開していますが、もう一つの攻撃手段としてはKing’s indian attack(KID)のようにナイトをe7へ移動させキングサイドをポーンを使って攻めていく方法もあります。
ちなみにこの局面ではLichessレート1,200~2,000において、黒番の勝率は53%の実績があります。
クラシカルバリエーション(4. Nf3)のまとめ:
オーストリアンアタック (4. f4)
オーストリアンアタック (4. f4)まとめの盤面へジャンプ
・f4としてきた場合は、白番のe4ポーンがポーンで守られないのでそこを利用します。
白:f4。e4がポーンで守られなくなったと考えることができます。
黒:ビショップをフィアンケットしてキャスリングの準備。
黒:d4にカウンターを仕掛けます。
白:ポーンでテイク。
黒:クイーンを展開してナイトをピンしつつ、ポーンの回収を狙っています。
白:e4がピンにより守られていないので、ビショップでサポート。
黒:ポーンの回収。g1にクイーンの利きがあるので白番はキャスリングできなくなっています。
白:クイーンの展開。
黒:ビショップによるピン。黒番スペースの緩和。
白:ビショップの展開によりクイーンを排除してキャスリングできる様になりました。
白・黒:双方キャスリング。
白:ビショップ排除の意図。
黒:h3に一手消費させており、ナイトを排除したいこともありテイク。
黒:ナイト展開によりルーク接続まで完了しました。
ちなみにこの局面ではLichessレート1,200~2,000において、黒番の勝率は48%の実績があります。
オーストリアンアタック (4. f4)まとめ:
150 Attack (4. Be3 or 4. f3)
150 Attack (4. Be3 or 4. f3)のまとめの盤面へジャンプ:
・Be3またはf3の場合は150 Attackのサインです。
キングサイドのポーンストームと、ビショップ&クイーンでバッテリーを組んでくる可能性があります。
白番の強力なキングサイド攻撃を避けつつ、白番のクイーンサイドキャスリングの可能性に備えて黒番はひとまずキャスリングはせずにクイーンサイドを拡張していきます。
黒:クイーンサイドを攻撃する下準備をします。
白:ビショップとクイーンのバッテリーでキングサイド狙いが見えます。
黒:白番はクイーンサイドへのキャスリングを狙っているので、ポーンを予め突き攻めの準備をしておきます。
白:この後g4から始まるキングサイドのポーンストーム(多数のポーンによる攻撃)を狙っています。
黒:クイーンを展開し、白番のクイーンサイドへのキャスリングを牽制。仮にクイーンサイドキャスリングしてきた場合は、bファイルのポーンを使ってキングを攻めることもできます。
※クイーンの展開ではなくa5と突いてポーンストームの準備をする手もあります。
白:ビショップの展開でキングサイドキャスリングの準備をしています。
黒:ナイトの展開。展開によっては赤矢印のようにナイトを攻撃に参加させる選択肢もあります。
白:ナイトの展開。左右どちらにもキャスリングできる状態です。
黒:ビショップの展開。相手の動向を見る手にもなっています。
白:キングサイドへのキャスリング。ようやくキャスリング方向が決まりました。
黒:ビショップをフィアンケット。
黒:相手がキングサイドにキャスリングしたので、キングサイドでのポーンストームはしにくくなっています。そのため黒番もキングサイドにキャスリングしました。
ちなみにこの局面ではLichessレート1,200~2,000において、黒番の勝率は56%の実績があります。
150 Attack (4. Be3 or 4. f3)のまとめ:
まとめ
開始直後はセンターを攻撃せず、低く構えて相手の動きに対して対応を変えるオープニングです。
初手e4に対して柔軟な対応をしたい人におすすめです。
チェスを始めたばかりであれは、以下の決まりきった自陣の形だけ覚えておくだけでOKです。