はじめに
シャンクランドメソッド(Shankland method)は、
「本当に指したい手があるが、相手がそれを阻止しているように見える時、それでも指したらどうなるかと自分に問いかける」という方法です。
シャンクランドルール(Shankland rule)とも呼ばれています。
サム・シャンクランドについて
サム・シャンクランド(Sam Shankland)は、アメリカのトップクラスのグランドマスターです。
2018年には全米チェス選手権で優勝。
FIDEレーティングにおいて、2700を突破したことがあります。
2024/11/8時点ではクラシカルにおいて世界57位、レーティング2672。
シャンクランド・メソッドはどんなときに使えるか?
「やりたいけど無理そう」と感じた時がトリガーです。
例えば・・・
「相手の駒によって強くコントロールされている場所への攻撃をする場合」を考えてみましょう。
一見、「攻撃を仕掛けても駒損するだけだ」と考えるとそこで読みを止めてしまいがちです。
これによって実際に指す手の候補を絞っているわけですが、もしかすると有効かもしれない手の可能性を早い段階で捨てているとも言えます。
無理そうに見えても、その先の展開を読んでいくと思っても見なかった打開策が見つかることがあります。
局面を進めた先に有効なタクティクスがあったりします。
比較的簡単な例:
白番がクイーンでナイトを取ろうと考えたとします。
クイーンで守られているので阻止されているように見えます。
一見クイーンで取り返されて駒損。
「これは意味がないのでやめよう」と思いがちですが、ここからさらに考えるのがポイント。
よく考えると、ナイトでフォークできるとわかりました。
相手:ルーク+クイーン
自分:クイーン
の交換となり駒得です。
無理そうな手も、それでもやったらどうなるかと考えることで解決策を見つけられました。
さいごに
チェスにおいては思い込みを打ち破ることが、視野を広げるポイントの1つです。
シャンクランドメソッドは、無意識に省いてしまう無理そうな手をきちんと読むことを意識付けするのに役立つ考え方であり、初心者からマスターレベルまで誰もが活用できる考え方です。
特に持ち時間が長めの対局では、時間をかけて考えることができるのでシャンクランドメソッドを活用してみてはいかがでしょうか?😊
Calculation! (Grandmaster Training Camp, 1) by GM Sam Shankland