はじめに

ユーゴスラブアタック(Yugoslav Attack)は、初手e4で始まり、シシリアン・ドラゴンバリエーションに対して激しく攻めたい人におすすめのオープニングです。
逆サイドにキャスリングすることで、キングサイドアタックをすすめる展開に持ち込むことができます。
よくある流れ
白:初手e4はチェスにおいて最もよく指される初手。中央支配を狙いつつ、ビショップとクイーンが外に出られるように準備しています。

黒:c5でシシリアン・ディフェンス。外側から中央を支配しています。
白:ナイト展開して中央の支配に使います。

黒:中央支配を強める一手。
白:d4として仕掛けるのは非常によくある展開。今後何度も出てきます。dポーンを交換することで、開けた展開を狙います。

黒:ポーンで取り返す。
白:ナイトで取り返す。

黒:e4ポーンを狙ってきます。
白:タダ取りされないようにナイトを展開して守ります。

黒:ここでg6とするのがドラゴンバリエーション。
白:ビショップをe3に展開し、攻撃的な駒組みを目指していきます。

黒:端から2マス目にピースを入れることを、「フィアンケットする」と言います。シシリアンドラゴンにおいて重要になるビショップです。
白:f3とするとユーゴスラブアタックになります。
f3の役割は4つ:
・fポーンでeポーンを守る
・この後のgポーンの前進をサポートする
・ナイトにe3のビショップの邪魔をさせない
・クイーンをキングサイドに回す別ルートにもなる

黒:キングの安全を確保するキャスリング。
白:クイーンを展開してビショップとバッテリーを組みます。相手の要であるフィアンケットしたビショップとの交換や、相手のhポーンの前進をブロックすることを狙っています。
クイーンサイドへのキャスリングの準備にもなっています。

黒:ビショップの展開。
白:ビショップを展開し、相手のdポーンの前進を止めます。あらかじめ、相手のやりたいことを止めておくのはチェスにおいて非常に有効です。

黒:ビショップの展開。
白:クイーンサイドへのキャスリング。お互いのキングが逆サイドにキャスリングすると、激しい戦いになります。どちらが早くキングをチェックメイトするかの勝負になります。

黒:ルークをハーフオープンファイル(自分のポーンがないファイル)に展開。
白:守られていないビショップをターゲットにしたタクティクスをくらうのを避けるために、下がっておくのが重要。(分岐は下のまとめボードで確認できます。)

黒:ナイトのジャンプ。シシリアンでよくある黒側の狙いです。フォークを狙えてビショップを削ることができます。
白:相手のルークからの狙いから逃れるために、キングをハーフオープンファイルから逃がします。地味だが良い手。

黒:ナイトジャンプでフォークを仕掛けてきます。
白:白マスビショップで取ります。

黒:ルークで取り返す。
白:gポーンを前進させます。fポーンのおかげでタダ取りされません。hポーンも活用してキングサイドをポーンストーム(ポーンの集団で攻めること)が狙い。
具体的な攻め方はこの後紹介する対局例で見てみましょう。

ユーゴスラブアタックのまとめ:
GM(グランドマスター)、タイトルプレイヤーによる対局例
グランドマスターたちによる対局例を見ていきましょう。
キングサイドを中心にした攻めの進め方は参考になると思います。
Robson, Ray – Chirila, Ioan Cristian 1-0
2019年、World op 47th
Zhao, Jun – Lu, Shanglei 1-0
2015年、Zhongfu op 1st
Stefansson, Hannes – Thorhallsson, Throstur 1-0
2005年、ISL-chT 0405
さいごに
●初手e4を指すと、シシリアンディフェンスのドラゴンバリエーションに出会うことがあります。
白としてとにかく攻めたいという人には、ぜひ一度試してほしいオープニングです。
●逆サイドにキャスリングしてからのポーンストーム、フィアンケットビショップの交換狙い、などはよくある攻め方です。
別のオープニングでも似たような攻め方があり、他でも知識が役立ちやすいので使ってみて損はありません。
初手e4からの攻撃的なチェスを楽しみましょう!😊
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