チェスでfポーンは動かさないほうが良いと言われていますが、このオープニングではあえて初手f4を指します。
Bird’s Opening/バード・オープニングの初手f4の使用率はわずか1%のため相手の意表を突くことができます。
攻撃的で楽しい白番のオープニングです。
他のオープニングとの関係を言うと、ダッチディフェンスのテンポアップ(1手先に指せる)です。
ダッチディフェンスを指す人はバーズオープニングも好みかもしれません。
バーズ・オープニングの狙いは?
e5のスクエアを徹底的に支配することが狙いです。また、ライトスクエアも支配していきます。
キングサイドへの鋭い攻撃を狙うオープニングです。
バーズ・オープニングの流れは?
初手f4でe5の地点を狙います。ダークスクエアを支配していきます。
f4はf2がガラ空きになるデメリットがあることは頭に入れておきましょう。
黒:白とは違いライトスクエアを支配していきます。
白:Nf3でe5のスクエアを更に支配します。
黒:自然な展開でダークスクエアをカバーしています。
白:ダークスクエアを狙いつつ、ビショップの道開きます。
黒:ビショップでナイトをピン。
白:ダークスクエアを狙っているナイトを無効化するためにピン。これでe5地点への相手の攻めを減らせます。(c6にナイトがいない場合は、柔軟に運用できるe2へのビショップ配置も考えられます。)
黒:ナイトを展開。
白:b3はビショップを活用するためのフィアンケットの準備。
黒:相手はビショップを攻撃してきます。
白:ナイトと交換してe5の地点への攻撃を完全に終わらせます。ビショップを攻撃されたら交換すると覚えておけばよいでしょう。
ポーンで攻撃されたのを見計らってビショップを交換してしまえば、相手のa6は無駄な1手となるところもポイントです。
黒:交換したためダブルポーンができ、相手のポーン構造を乱すこともできました。
白:キャスリングしてキングの安全を確保。ルークの前線への展開の準備も兼ねています。
黒:ビショップの道を開けます。
白:ビショップをフィアンケットし、ダイアゴナル(斜め)に狙いを定めます。e5にも利いており、白は3つの駒がe5を支配していることになります。
黒:ビショップを展開し、キャスリングの準備をしています。
白:d3でナイトの展開先を確保します。
黒:キャスリングでキングの安全を確保。
白:ナイトを展開し大体の駒組みが終わりました。
全てのピースがキングサイドに向かっているので攻撃を仕掛けやすくなっています。
この局面のLichessレート1,200~2,000での勝率は67%で、かなり良い実績となっています。
<その後の攻め方のアイデア>
ナイト:支配しているe5地点に飛んでキングサイドを脅かす。
クイーン・ルーク:キングの前に展開し突破を狙う。
b2のビショップ:斜めから攻撃のサポート。
ここまでの振り返り:
「1… e5」とされた場合は?(From’s gambit)
f4に対してe5は9%しか指されていないので、最初のうちは上のよくある展開だけを練習しておけばよいでしょう。
一方で、e5からの対処法を知っている相手の場合は脅威になりえるので、余裕があればこちらも知っておきたい流れです。
King’s gambitへ移行する
キングズギャンビット/King’s gambitへ移行してしまう手があります。
慣れた手順に入っていくのもあり。
素直に対応する
e5の場合、即チェックメイトの危険なラインが複数あるので対策を知っておきましょう。
<対処のポイント>
・クイーンをh4に来させない
・ビショップをg3に来させない
黒:1つめのポーンを捨ててきます。
黒:2つ目のポーンを捨ててきます。
黒:ビショップを展開。ビショップx2とクイーンがキングサイドを狙っています。かなり攻撃的。
白:クイーンの侵入を防ぐためにナイト展開。
黒:ナイトを排除しようとポーンプッシュしてきます。
落とし穴1(クリックで展開)
h3は即チェックメイトに繋がります。Bg3で終わり。
キングのダイアゴナルに侵入されないように注意。
黒:ナイトを追い払うためにg4とプッシュ。
白:hポーンプッシュを防ぐためにナイトをh4へ。
黒:ナイトを排除する狙い。
白:ナイトがいなくなった後のキングサイドの守りのための準備。
黒:ナイトで攻撃を仕掛けてきます。
白:h4地点で交換されるとQh4+がきついので自らナイトを交換。
黒:ポーンでテイクし、hファイルのルークの道が開きました。hポーンを取られない対応が必要になります。
白:クイーンでg3を守り、黒番のh2へルークを使ったタクティクスを防ぎます。
落とし穴2(クリックで展開)
g3を守らないと次のようなタクティクスが成立してしまいます。
ルークサクリファイスからポーンを失うだけでなく、キングが晒されてしまうのがきつい。
ここまでの振り返り:
まとめ
初手e4,d4に飽きてきた場合に最適なオープニングがバーズオープニングです。
駒組みも明らかに変わるので新鮮な気持ちでプレイできるのではないでしょうか。
タクティクスをこなしつつマイナーなオープニングでも勝っていけるようになればチェスの幅が広がります。