知っておくべきチェスのタクティクス一覧【戦術】

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はじめに

タクティクス(戦術)とは、有利を得るための短い手数での一連の動きのことです。

これによって有利不利が大きく変わるので、チェスを始めたらまずはタクティクスをたくさん知って、タクティクスの問題を解くのがおすすめです。

この記事では、「どのようなタクティクスがあるのか、どこで練習できるのか」について解説します。

補足:
初心者の方にまず知っておいてほしいものについて、★をつけました。

より先に知ってほしいものから順に掲載するようにしています。(おおまかには)

いきなりすべてやるのは大変です。

少しずつ知っているタクティクスの数を増やしていきましょう!

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タクティクス(戦術)とストラテジー(戦略)の違い

タクティクス(戦術)とストラテジー(戦略)は異なるものです。

タクティクスは短期的利益、ストラテジーは長期的利益を得るためのものと考えればOKです。

チェスを始めたばかりであれば、まずはタクティクスに取り組むのをおすすめします。

戦略に興味がある場合はこちら:

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タクティクス一覧

★★★フォーク(Fork)

1つの駒を使って2つの駒を同時攻撃するタクティクス。
相手の価値の高い駒を取ったり、駒をタダで取れます。

<例>
ナイトがキングとクイーンを同時に攻撃します。


キングが逃げる間にクイーンを取れました!

★★★ピン(Pin)

ピンとは、相手の駒A越しに間接的に価値の高い駒Bを攻撃することで、駒Aを動かせない or 動かしにくい状態にするタクティクスのこと。

チェスにおいてピンはとてもよく出てきます。

文字だけではわかりにくいので例を見てみましょう。

<絶対ピン>
ビショップの攻撃が間接的にキングに当たっているので、ナイトは絶対に動けません。


<相対ピン>
ビショップの攻撃が間接的にクイーンに当たっているので、ナイトが動くとクイーンを取ることができます。

★★★スキュア(Skewer)

スキュアとは、相手の駒が同一直線状に駒が並んでいる時に、そのラインを攻撃すれば価値のある手前の駒は逃げるかわりにその先の駒を獲得できるタクティクス。

ピンと似ていますが、違いは価値の高い駒が前にいることです。

<例>


チェックしているので、キングは逃げるしかありません。


キングが逃げる間にクイーンをタダ取りできました!

★★★バックランク(Back-rank)

バックランクとは自分にとってチェスボードの一番手前のランク(行)のこと。

<例>
緑の行が黒番のバックランク。
青の行が白番のバックランク。


バックランクでキングが逃げられないことを利用したチェックメイト。
これがあるのでチェスは注意が必要です!

アンダーマイニング(Undermining)

アンダーマイニングとは、守り駒を除去すること。
(守り駒の除去/Undermining/Removing a defender)

<例>


白:ビショップを守っているナイトを取り除きます。


黒:ビショップを取り、ここまでは損得なし。
白:
相手のビショップが守られていないのでタダで取れます!

★★ディスカバードアタック(Discovered attack)

ディスカバードアタックとは、直線上に動ける駒の前の駒が動くことによって後ろの駒の攻撃を発生させるテクニックを言います。

<例>


ポーンを動かすことでビショップの攻撃が発生しました。
これがディスカバードアタックです。
ちなみにこれがキングに対するものなら、ディスカバードチェックと言います。

★★ダブルアタック(Double attack)

同時に2つのスレット(脅威)を発生させるのがダブルアタックです。

フォークはダブルアタックの一種。

<例>
ディスカバードアタックを使ったダブルアタックの例。


ポーンがビショップを攻撃しつつ、ビショップもクイーンを攻撃している。


相手はクイーンを失いたくないので逃がしますが、ビショップは逃げられませんでした!

デコイ(おとり/Decoy)

デコイとは、特定のマスから駒を遠ざけるための動きのこと。

※補足:特に遠ざけられた駒がキングの場合はアトラクション(Attraction)と言います。

<例>
白:チェックをかけると、相手キングはルークを取るしかありません。


白:守っていたキングが離れたので、クイーンを取れました!

ダブルチェック(Double check)

2つの駒により同時にチェックをかけること。

ダブルチェックをされたキングは、動くしか回避方法がない。

<例>
ディスカバードアタックを使ったダブルチェックの例。


ナイトとクイーンが同時に相手のキングを攻撃している。
キングは逃げないといけないが、逃げ場所がなくチェックメイト。

サクリファイス(Sacrifice)

相手に取られるマスに駒をあえて進めることで、有利を得ようとする動きのこと。犠牲。

チェスにおいて最も派手な動きの1つと言えます。

<クイーンをサクリファイスする例>


白:クイーンでポーンを取るサクリファイス。
普通は価値の高いクイーンをタダであげたくないのですが・・・


白:ルークでチェックメイトでき、クイーンをサクリファイスした価値がありました。

クリアランスサクリファイス(Clearance Sacrifice)

クリアランスサクリファイスとは、行きたいマスに自分の駒が邪魔しているとき、その駒を捨てるサクリファイスのこと。

<例>
黒:自分のルークが邪魔なので・・・


黒:ルークを捨てて、クイーンが入るマスを確保しました。


白:取るしか逃げ道がありません。
黒:クイーンでチェックメイトできました!

グリークギフトサクリファイス(Greek Gift Sacrifice)

キャスリングしたキングのルークポーンへサクリファイスを仕掛けること。

最も有名なサクリファイス方法の一つ。

条件がそろったときに使えば、駒得やチェックメイトにつながる。

<グリークギフトサクリファイス>

★ツヴィッシェンツーク(Zwischenzug)

ツヴィッシェンツークとは簡単に言うと「間に挟む手」のこと。

当たり前に見える手の前に、別の手を先に指すこと。

ツヴィッシェンツークは他にも様々な呼び方があります。
英語の場合は、ツヴィッシェンツークよりも以下の3つがよく使われている印象です。

・Intermediate move(インターミディエイトムーブ)
・Intermezzo(インターメッゾ)
・in-between move(インビトウィーンムーブ)

・中間手

などとも呼ばれます。

<例>


白番がクイーンを取ってきました!
クイーンを取られたので、ポーンで取り返さないと損する!と考えられるので、黒番はポーンですぐ取り返したくなりますが・・・


ここでナイトでビショップを取る一手がツヴィッシェンツークです。
ビショップを取りつつチェックなので、白番はクイーンを逃がす時間がありません。


キングが逃げた後、黒はクイーンを取りました。
結局、ビショップをタダ取りできたとわかります!

インタフィアレンス(妨害/Interference)

インタフィアレンスとは、2つの駒の間に駒を割り込ませて連携を断ち切ることを言います。

例:
ナイトへのクイーンの利きをポーンで断ち切りました。
赤◯のナイトはクイーンに守られていないのでピンチです!

パーペチュアルチェック(Perpetual check)

1人のプレイヤーが、相手のキングを連続でチェックし、相手が連続チェックから逃げられない状態のこと。

どれだけ不利な状況でのパーペチュアルチェックできれば引き分けにすることができる。

<クイーンでのパーペチュアルチェックの例>


駒のポイントで完全に負けの局面ですが、パーペチュアルチェックがあります。


青矢印のように何度もチェックして3回同じ局面を作り出せばドロー(引き分け)にできます。

オーバーロード(過負荷/Overload)

1つの駒が2つ以上の駒やマスを守る必要がある状態をオーバーロードと言います。

<例>
ポーンが2つのピースを守っています。


白:ビショップを取りました。


黒:ナイトを取り返しました。
白:ポーンが取り返すと、ナイトが守られなくなりタダで取れました!

ウィンドミル(風車/Windmill)

チェックとディスカバードチェックを繰り返しながら駒を取り尽くしていくタクティクス。


黒:チェック、相手は逃げるしかない。


白:チェックから逃げる。
黒:ルークはポーンを取りつつ、ビショップでディスカバードチェック。


黒:ルークでチェック、ディスカバードチェックを繰り返す。


黒:結果、セブンスランクのピースを取り尽くしました。

ツークツワンク(Zugzwang)

「指すことで状況が悪化するため、できれば手を指したくないのに、指さなければならない状況」

のこと。

<例>
パスはできないので、悪い手(今いるマスから逃げる手)を指さなくてはいけません!

X線攻撃(X-ray attack)

X線攻撃とは、相手の駒の向こう側を間接的に攻撃している状態のこと。

<例>


白:ルークが白番のクイーンのマスを間接的に攻撃しています。


白:クイーンが取られても、ルークで取り返せました!チェックメイト!

デスペラード(Desperado)

一時的にサクリファイスをしてポイントを失いますが、その後のフォローを含めてトータルで駒得しようという動きのこと。

<例> 


1:クイーンでルークをとり、(+5)


2:ナイトで取られる。(-9)


3:ルークでクイーンを取る(+9)
結果、5-9+9=+5の得になりました!

ポーンブレイクスルー(Pawn Breakthrough)

1つ、または複数のポーンを捨ててパスポーンをつくる動き

ポーンの数が同数、または少なくても工夫次第でパスポーンを作れる可能性があるのは面白いです。

パスポーンをプロモーションさせることは勝ち負けに直結するので重要です。

<3 vs 3でもパスポーンをつくれる>


2つポーンを失うが、そのかわりにパスポーンをつくれた。


詳しくはこちらで解説しています。

カウンタースレット(Counter-threat)

カウンタースレットとは、相手からの脅威(threat)に対して、単に防御するのではなく、自分も同時に脅威を作り出す手 のこと。

<例>
ナイトが逃げられず、絶体絶命ですが、うまい手で回避できます。


<カウンタースレット>
相手の守られていない駒を攻撃します。
このときにピンされた駒で守っているのがポイント。

相手がナイトを取るとクイーンをタダ取りできます。
黒のクイーンが取られても、ナイトで取り返せるのでナイトが助かります。

このように自分がピンチでも、相手に何らかのスレット(脅威)を与えることで助かることもあります。

ピン以外の状況でも現れるタクティクスです。

高度なタクティクスなので、初心者なら見つけられなくても悩む必要はありません。

ブロッキング(Blocking)

ブロッキング(Blocking)とは、相手の駒を強制的に移動させて、別の敵の駒がそのマスに逃げられなくするタクティクス。

チェックメイトできそうでできない時は、ブロッキングを考えてみればうまくいく可能性があるので知っておいて損はありません。

<例>
矢印の位置でチェックしても赤のマスに逃げられてしまいます。
どうすればよいでしょうか?


答:
図の位置から一度チェックして、ブロックさせるのがポイントです。


相手はナイトが邪魔で逃げられずチェックメイトとなりました!

クロスピン(Cross-pin)

1つの駒を同時に2つの駒でピンしている状態のこと。

ダブル・ピン(Double pin)とも言う。

出会う頻度は高くないですが、「こういう手もある」と知っておくとアイデアを思いつきやすくなります。

クロスチェック(Cross-check)

片方のプレイヤーがチェックしたとき、もう一方のプレイヤーがそのチェックを阻止すると同時に、逆にチェックをするタクティクス。

<例>
相手のルークによるチェック。


ビショップでチェックを止めつつ、相手のキングにチェック。
これがクロスチェック。

練習できるサイト

タクティクスを練習できるサイトはいくつかありますが、初心者でも使いやすい、おすすめなものを紹介します。

Chess.com

Chess.comはサイト選びに迷っている人・初心者にオススメなサイトです。

基礎的な問題から始められ、やる気を持続させる要素がたくさんあります。

CPU対局、対人対局、解析、タクティクス問題、レッスンなど一通りの機能がそろっています。

Lichess

Chess.comと比べると少し難しめの問題が多めですが、Lichessでは無料で何問でもタクティクスの練習ができます。

使い方は以下の記事で紹介しています。

さいごに

●有利不利を大きく変える力があるのがタクティクスです。

初心者~中級者のあたりであれば、タクティクス1つで勝ち負けに直結することも多々あります。

毎日少しずつでもよいので、タクティクス問題を解いてみましょう。

「これはあのパターンだ」と気付けるようにすれば、実際の対局で勝ちを引き寄せる一手を見つけられるようになります。

●タクティクス問題を解くことは、チェスにおける基本練習の1つです。

何をやればよいか迷ったら、タクティクス問題に取り組むのがおすすめです!😊

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