はじめに

ボード上の駒と配置から、「どちらが有利か、または同等の局面か」を評価するスキル(Evaluation skill)は、勝ち負けを左右する能力の1つです。
局面評価/形勢判断が重要なのはなぜか?
到達する局面が本当は不利なのに「有利だ!」と読み誤ると、読みがどれだけ正確でも悪いポジションに入ってしまうだけだからです。
この記事では局面を評価の基準を紹介します。
評価基準
よく使われる代表的な評価基準をいくつか紹介します。
マテリアル
単純に言うと、同種の駒を比較して、より多くのマテリアル※を持っていたほうが有利です。
※マテリアル:盤上にあるピースとポーンのこと。キング以外の駒。
<例>
同じ種類の駒を数えてみましょう。

ポーンは、黒4:白5

マイナーピース(ナイト、ビショップのこと)は、お互いナイト1とビショップ1で同じ。

お互いルーク1つ。

結果、マテリアルのみに注目すると、白がポーンを1つ多く持っておりマテリアル的には有利とわかります。
マテリアル的に有利なら、優勢であることが比較的多いです。
ただし・・・マテリアル的には、というのがポイントで、「マテリアルで有利=優勢」とは限りません。
マテリアル的に大幅有利でも、チェックメイトされる状況だともちろん評価は悪くなります。
別の項目も見て、総合的に判断していく必要があります。
キングの安全性
キングが危険であれば、マイナス評価になります。
チェックメイトされると終わりなので、最も評価に影響する項目と言えます。
<黒番のキングは安全、白番は危険>

ピースアクティビティ(駒の活動性)
●ピースアクティビティが良いほどプラスの評価です。
ピースアクティビティーとは、直訳すれば「駒の働き、駒の活動性」のこと。
駒がどれだけ働いているか、盤面で自由に動けているかを示す考え方です。
強いピースを持っていても、配置が悪いと有利につながりません。
<良い配置>
ピースが動きやすく、利きが活かされている。

<悪い配置>
ピースが動きにくく、利きもポーンで止まっている。

ポーン構造
ポーン構造が悪いとマイナス評価です。
「ポーン同士が孤立せずに、お互いに守り合っている」と良いポーン構造だと言えます。
「ポーン同士が孤立して、お互いに守り合っていない」と悪いポーン構造だと言えます。
<例:バックワードポーン>
ポーンで守られていないのでターゲットになりがちで、マイナス評価になりやすい。

以下の記事では、マイナス評価になるポーンの配置を紹介しています。
スペース

●スペースが取れていると有利な場合が比較的多いです。(すべてで当てはまるわけではありません)
スペースのある攻め側:
攻撃のための駒組みを最適化できるスペースが存在するので、ベストな攻撃態勢を準備できます。
スペースの狭い守り側:
・自陣が窮屈であると、守りのための最適な駒組みが制限されるので守りが弱くなります。
局面評価は「総合評価」

●局面は単一の評価基準で決まるわけではありません。
上記で紹介した各評価基準などを考えて、総合的に判断します。
局面評価はタイトルプレイヤーでも見誤ることがある作業ですが、自分なりに持っている知識を総動員して局面を評価してみましょう。
●自分よりレベルの高いプレイヤーに教えてもらえるなら、自分なりの局面評価を伝えてみて、そのプレイヤーならどう考えるかを聞いてみると勉強になります。
評価の助けになる知識

自分よりレベルの高いプレイヤーに教えてもらえる機会は、あまりないですよね。
そんな時は、戦略的な考え方を持っていると局面評価を自分でやる際の助けになります。
長期的なプランを考える「ストラテジー」は、以下の記事でまとめています。
ストラテジーを知っておけば、「なんとなく」ではなく、自分なりに根拠を持って評価を下せるようになります。
どこで練習できる?
Chessload(チェスロード)

Chessload(チェスロード)というサイトでは、「どちらが有利か、または同等の局面か」判断するゲームがあります。
サイトに登録して、問題に挑戦すると正解に合わせてレーティング変動するようになっているので楽しみながら練習できると思います。
ChessVal
ChessValでは、評価値まで自分で調整して評価値当てゲームができます。

さいごに
●局面が良いのか悪いのか、考える練習をやる機会は少ないのではないでしょうか?
局面の良し悪しを見極めることができれば、読みを活かすことができたり、
様々なチェスのスキルを最大限引き出せるようになります。
●「他の練習を十分やっているのに、結果がついてこない」という人はもしかすると「局面評価の力」が不足しているかもしれません。
今回紹介した局面評価の基準を参考に、練習してみませんか?😊
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