キングズ・インディアン・アタック(KIA)の特徴は?
キングズインディアンアタックは、黒番のさまざまな反応に対して使えるオープニングです。
略して「KIA」とも呼ばれます。実戦で使えるように解説していきます。
白番はキングサイドを攻めるのに対し、黒番はクイーンサイドを攻めていくことになります。
両方の攻めが成功した場合は黒番が駒得するのに対し、白番はキングをチェックメイトできるメリットがあります。
キングズ・インディアン・ディフェンス(KID)と混同されやすいですが、キングズインディアンディフェンスは黒番のオープニングであり、キングズ・インディアン・アタック(KIA)は白番のオープニングです。
キングサイドを上手く攻めるのは工夫がいりますが、キングスインディアンアタックは攻めの感覚を磨く練習に最適です。
初手はNf3、e4とどちらからでもスタートでき柔軟性があるところも良い点です。
駒組み
結論から言うと以下の形を目指せばOKです。
チェスを始めたばかりの人であれば、とりあえずこの形を目指してみましょう。
よくある流れ
ここでは初手e4とした場合を想定して見てみます。(初手Nf3も可能)
黒番がシシリアンに入るならこちらはKIAに入りますよ、という方針の変更が可能です。
相手がシシリアン(1… c5)場合
白:キングズインディアンアタック(KIA)は初手e4、Nf3のとちらも可能。
非常に柔軟性があるオープニングです。
黒:1… c5はシシリアンディフェンス。非常に人気のある黒番の攻撃的ディフェンスです。
白:ナイト展開し、相手のe5へのポーンプッシュを防ぎます。
黒:中央支配のための準備をします。
白:KIAに特徴的なd3。ダークスクエアビショップの道を開きます。よくあるd4によるポーンを交換する展開を避けています。
黒:自然なナイト展開。
白:ビショップをフィアンケットするためのスペースを作ります。
黒:d5として中央支配のためポーンをプッシュします。
白:ここで重要なのナイトをクイーンの前に配置することです。これによりこの後のクイーン交換を防ぎます。クイーンを交換されてしまうとこちらのキャスリングの権利がなくなってしまうためです。
黒:自然なナイト展開。
白:ビショップをフィアンケットします。
黒:キャスリング準備のため、ビショップを展開。(d6に展開するとポーンでフォークされる危険性があるのでe7へ配置。)
白:キャスリングはキングの安全を確保とルーク展開を兼ねています。
黒:同様にキャスリングでキングの安全を確保。
白:ここがKIAに特徴的なe5へのポーンプッシュ。
このポーンはたびたび良い働きをします。このポーンは前線に拠点を作ったり相手のスペースを制限したりする非常に良い働きをしています。この後の攻めでも活躍する重要なポーンです。
ここではキングサイドを守るナイトに圧力をかけています。
黒:ナイトを退避させつつさせつつe5に圧力をかけます。
白:ルークを展開してe5ポーンをサポートします。e5への「攻め vs 守り」は2 vs 2なので取られません。
黒:クイーンを展開しつつ、e5に圧力をかけます。
白:クイーンを展開しつつ、e5をサポート。これでe5への「攻め vs 守り」は3 vs 3となります。
黒:クイーンサイドへポーンストーム(多数のポーンを利用した攻撃)を仕掛けます。
白:ナイトを上手く使うためのマニューバー(配置換え)で、一見なぜ後退させるのかと不思議に思うかもしれません。
これは後のタクティクスやキングサイドへの攻撃の下準備になっています。
駒を最大限に活かすために必要な動きで、チェスではこの一見不思議な動きが多用されます。
ナイトは今後赤の矢印の動きを狙っていきます。
黒:クイーンサイドからの攻めを継続します。
白:ビショップで間接的に相手クイーンを攻撃している形になっています。
これによってこの後の展開によっては、ビショップ前のポーンが前進した時に「ビショップの射線がクイーンに当たる(ディスカバードアタック)」などタクティクスに利用できる配置になっています。
黒:ビショップを展開し、ルーク同士を接続します。(お互いを守らせる形にすること)
白:h4はいくつか目的があります。
・g5へのナイト展開の補助。
・h2をナイトが利用できるスペースにする。
・h5プッシュの準備。
ちなみにLichessレート1,200~2,000では、この局面の勝率は56%の実績が残っています。
キングサイド攻撃のアイデア
キングサイドを崩すために使えるアイデアをいくつか紹介します。
これらは一例なので、展開に合わせて最適な攻め方を探ってみましょう。
相手の動きによって有効な攻め方は変わってくるのでこれが正解というものはありませんが、そこで上手い手を考える時間が楽しみの1つになると思います。
できるだけ多くのピースを攻撃に参加させるのが攻めを成功させるコツです。
ナイト
・f6, h6でのサクリファイスに使うアイデア。
ビショップ
・クイーンへの間接的な攻撃のためにf4に配置。e5ポーンがいなくなった時にビショップの利きがクイーンにあたります。
・h6にポーンがある時、サクリファイスでキング前を開かせる。
・ビショップを有効に活用する意図でd3へ移動し、h7へのサクリファイスなど。
クイーン
・ナイト・ポーンとのコンビネーションを考え、チェックメイトの圧力をかける。
・チェックメイト圧力によって、ポーンを強制的に突かせることでキング前のポーン構造を乱し弱点を発生させる。
キングズ・インディアン・アタックまとめ:
まとめ
初手e4をメインにしている人は、対局を重ねていくと相手のシシリアン・ディフェンスに飽きてくる人もいるかも知れません。
そんな人にはボビー・フィッシャーも使っていたキングズ・インディアン・アタック(KIA)がおすすめです。
KIAを使えば、よくあるシシリアン・ディフェンスの展開を避けてこちらがペースを握れます。
キングサイドを突破を考え抜く創造的な楽しみ方ができるオープニングですので、ぜひ遊んでみてください。