メキシカン・ディフェンスの特徴・狙いは？
別名ブラック・ナイツ・タンゴ(Black Knights’ Tango)とも言います。
最初にポーンでのクイーンサイドの支配を狙う相手に対する珍しいディフェンスで、２つのナイトが最初に展開されるところが特徴です。
「ナイトを攻撃したい、スペースを確保したい」という相手の意図を逆手に取ってポーン構造を弱くさせたり、ナイトのマヌーバ(配置の改善)をして攻撃に繋げていくのが狙いです。
メキシカン・ディフェンスのよくある流れは？
白：チェスにおいて２番目によく指されるd4。
黒：Nf6は様々なオープニングにつながる柔軟な動きです。
(キングズ・インディアン・ディフェンス、ニムゾ・インディアンなどにもつながります。)
白：クイーンサイド～中央をポーンで支配する一手。
黒：ここで２つ目のナイトを早速展開するのがメキシカンディフェンスの特徴。
トリッキーなことをしたいナイト好きな人にあっているかもしれません。
この後、主に３パターンに分かれるので見ていきましょう。
クイーンサイドのナイトを展開してきた時(3. Nc3)
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黒：中央へ仕掛け、d4ポーンの判断を迫ります。
白：交換を嫌い、前進させてきます。
黒：ナイトを退避させつつ目的のキングサイド側への移動を狙っています。
白：中央の支配を固める狙いのe4。
黒：キングサイドへのナイトの移動ができました。
白：e4のサポート。キャスリングのための展開。
黒：キングサイドの弱点であるf2を狙っています。
白はeポーンを突いてしまっているのでfポーンを守れなくなっています。
伸ばしすぎたdポーンも穴になってしまっているのでそれをビショップで利用しています。
※ビショップの展開位置は場合によってはナイトをピンする選択肢もあります。
黒：ナイトとビショップでf2地点を攻めていきます。
白：fポーンを守るためのキャスリング。
黒：クイーンを展開しチェックメイトをちらつかせます。
この場面でのキングサイドを狙っている青丸のクイーン・ナイト・ビショップの配置は、よくある形で非常に強力なので覚えておくとよいでしょう。
様々なタクティクスが考えられる形です。
白：チェックメイトを防ぐためのh3。
黒：ナイトでテイク。
白：クイーンを逃がすとチェックメイト、キングを逃がすとクイーンを失うのでルークでテイク。
黒：クイーンでテイクバック。完全に勝勢です。
クイーンサイドのナイトを展開してきた時(3. Nc3)まとめ：
ポーンでナイトを攻撃してきたら？ (3. d5)
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白：ナイトを攻撃してテンポ(時間、ターン)を得つつ、スペースの確保するためプッシュしてくることがあります。
黒：中央へ逃します。この後プッシュしてきたことを逆利用します。
白：c4ポーンを守るためビショップの道を開けます。
黒：相手の伸ばしすぎたポーンを攻めつつ、同じくビショップの道を開きます。
白：ナイトの展開。
黒：ビショップでピン。
白：アンピン。(ピンの無効化。)ビショップでピンに対する守備的な対応としてよく使われる受け身な手です。
黒：キャスリングでキングの安全を確保。
白：ビショップの判断を催促する動き。
黒：ポーンでビショップを攻撃してきますが、ナイトと交換はここではメリットがないのでしません。
何かしらメリットがあるときのみ交換するのがGOOD。
(例：ダブルポーンにできるとき、ナイトの利きを消したい時など、ビショップペアを失うことと天秤にかけて考えるとよいでしょう。)
白：中央に配置されたナイトを排除する手。
黒：ナイトの退避。これで十分戦える形になりました。
ポーンでナイトを攻撃してきたら？ (3. d5)まとめ：
キングサイドのナイトを展開してきた時(3. Nf3)
キングサイドのナイトを展開してきた時(3. Nf3)まとめの盤面へジャンプ
黒：ビショップの道を開きます。
黒：ビショップ展開とピン。
この後の方針の１つとしては、中央をポーンで攻撃していく方法があります。
白：ビショップによるピン。
黒：このあと中央をe5で攻めるためのサポートとなるd6。
白：ビショップの道を開く＋d4のサポート。
黒：キャスリングでキングの安全を確保します。
白：もっともアクティブなスクエアにビショップを展開。
黒：ナイトとの交換。白番のナイトによりキング前のナイトを攻撃されるのを予め防ぐためです。
白：ポーンでテイクバック。
黒：中央への攻撃。
黒：ナイトを攻撃されて初期位置に戻りますが、その後ルートを変えて穴になっているc5に配置する手があります。ポーンをプッシュするとどこかしらに「穴(弱点)」ができるので、それを利用できるようになるとプレイの質が上がるはずです。
白：クイーンとビショップでバッテリーを組んでキングサイドへの狙いを見せています。
黒：ポーンを守るためのプッシュ。
黒：ナイトをベストな位置に配置できるようにルートを考えられるようになれば、中級者に一歩近づけるはずです。
キングサイドのナイトを展開してきた時(3. Nf3)まとめ：
まとめ
メキシカンディフェンスは頻繁に指されるわけではありませんが、トップレベルのGMであるファビアノ・カルアナも使用したことがあるオープニングです。
ナイトが２つ最序盤に出る見た目にも面白いオープニングなので「ナイトが好き」な人なら極めてみても面白いかもしれません。
他の人が指さないオープニングを取り入れて、自分だけのレパートリーを作るのもチェスの楽しみ方の１つです。
