相手のd4に対してNf6と開始します。
白の様々なオープニングに対して使える汎用性の高いオープニングです。
フィアンケットをすることから、ナイトとビショップのコンビネーションであるディスカバードアタックのできる形が組み込まれています。
※フィアンケット(fianchetto)とは、ナイト前のポーンを進ませ、そこにビショップを配置することです。
King’s Indian Defense/キングズ・インディアン・ディフェンスの狙いは?
一時的に白に中央を支配されますが、後からポーンを突いて反撃しようという狙いがあります。
白がクイーンサイドを攻撃している間に黒はキングサイドに攻めていきます。
大まかな流れ
黒:ナイトを展開し、e4を防ぎます。
e4,d5の地点を攻撃することで中央支配しようとしています。
白:c4でのクイーンサイドの支配。
黒:こちらはフィアンケットする準備をします。
黒:フィアンケットします。ビショップの目の前のナイトが動くと、ビショップの射線が開く仕掛けになっています。(ディスカバードアタックができる仕掛け)
黒:b8のナイトの移動先の確保とe4への対抗。
もしここでポーンを突いてきたら?
ポーンを突いてきても問題ありません。これは相手の不利になります。
ポーンを取り合った後、クイーンの交換になり相手はナイトかキングで取らなければなりません。
以下の点でこちらの優勢です。
・白番がキングで取る場合:キャスリングの権利を失う
・白番がナイトで取る場合:ナイトが中央から離れて、展開に時間がかかる
ポーンを突いてこなかった場合
黒:キャスリングしてキングの安全を確保します。
黒:白に支配されていた中央へポーンで攻撃を仕掛け、スペースを確保します。
↓ここまでの流れの確認。初心者のうちはここまで知っておけば十分です。
上記の自陣の形をまず完成させることを狙って指せば序盤はうまく切り抜けられると思います。
その後の展開の一例(黒のキングサイドへの攻撃方法)
キングズ・インディアン・ディフェンスは、キングサイドからの攻めだけではなくクイーンサイドから攻めるラインもありますが、今回はLichessレート1,200~2,000での最もよくある流れを見ていきます。
キングサイド側からポーンを上手く使って攻めていきます。もちろん展開によって攻め方は変わるので一例として見てください。
黒:ナイトを展開。このナイトは将来的にキングサイドの攻撃に参加します。
黒:ナイトをキングサイドへ移動させていきます。ナイトをベストなポジションに持っていくために次々と動かすことがチェスではよく行われます。(マヌーバリングといいます。)
白:ナイトをクイーンサイドへの攻撃のために再配置。
黒:fポーンをプッシュしていくためにナイトを引きます。
黒:ポーンプッシュ。でキングサイドを拡張していきます。キングズインディアンアタックの典型的な手法です。
白:ポーンチェーンとするためにfポーンを突き、g2-d5までのポーンチェーンを作りました。
黒:中央をロックしてキングの目の前までポーンチェーンを伸ばし、他のピースが攻撃参加するスペースを確保しています。
黒:gポーンを突きます。徐々にキングサイド攻撃を始めていきます。
ナイトをキングサイドへ展開し直すことで突破を狙います。
一般に、ポーンチェーンの向きに沿って攻めるというのがチェスではセオリーです。
白番はクイーンサイドを攻めていき、
黒番は狙い通りナイトをキングサイドへ移動します。
キングズインディアンディフェンスの絡む対局では、お互いのどちらの攻撃が速いかという争いになることが多々あります。
チェスでは一方はキングサイドから攻め、もう一方はクイーンサイドを攻める展開がよく発生します。
白がキングサイドにキャスリングした、キングズインディアンディフェンスでは次のような展開となり、黒の攻撃が成功した見返りの方が大きくなっています。
白:クイーンサイドを攻撃し、ルークなどを得する。
黒:キングサイドを攻撃し、チェックメイトまで持っていく。
白:ポーンをテイク
黒:ポーンでテイクバック。
白:オープンファイルであるcファイルの攻撃を狙います。
黒:7thランクを守りつつ、この後攻撃のためgファイル・hファイルへの移動をルークは狙っています。
黒:ナイトでの攻撃参加に対してポーンで対応。
黒:a3にあるナイトが攻撃参加できないようにbポーンで赤丸のスクエアを防御。
基本はキングサイドの攻撃に専念しますが、「効果的に白番の動きを遅らせることができる場合や、どうしても必要な場合、クイーンサイドでのプレイが局面に有利に働く場合」にはクイーンサイドでもプレイします。
そしてまた攻め合いへ・・・
このように着実にポーンを進めてキングサイドを攻略するやり方が最も多い手順です。
ここまでの流れ:
まとめ
キングズインディアンディフェンスは開始直後に中央の4マスへ駒を展開しないので、ある程度自分のペースで駒組みができるオープニングとなっています。
初心者からトップレベルまで多くの人が使っており非常にオススメです。
一歩深い内容に踏み込むと、ポーンを一歩ずつ進める渋い戦いになり、開けた激しい展開とは違った攻め方も学べるオープニングとなっていますが、初心者のうちは下図の典型的な自陣の形を完成させることを目指して指すだけで十分楽しめる形になりますので、深くまで手順を覚える必要はありません。