ラットディフェンス/Rat Defense【チェス定跡】

ラットディフェンスは初手d4に対してd6と応手していくディフェンスです。
イレギュラーなオープニングなのでラットディフェンスについて知らないプレイヤーが多く、初見での対応に相手は戸惑うはずです!

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ラットディフェンスの特徴は?

クイーンズ・ギャンビットを狙いたい相手に対して、予想外の仕掛けをすることができます。
クイーン交換につながる場合でも黒番有利にできる特徴があります。

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ラットディフェンスの流れは?

白:初手d4はチェスにおいて2番目にメジャーな初手。
黒:d6として次のe5の仕掛けに備えます。


白:c4によりクイーンサイドの支配・スペース確保を狙っています。
黒:e5によりd4に判断を迫ります。
通常クイーンズ・ギャンビットを指す人はクイーンズ・ギャンビット・ディクラインドかスラブディフェンスに対しては経験が豊富ですが、ラットディフェンスに対しては何をしたらいいか迷うはずです。
この後よくある3パターンについて見ていきます。

(クリックで開閉)センターに2つ並べてきたら?(2. e4)

ピルツディフェンスに移行できます。

(クリックで開閉)ナイトでe5を阻止してきたら?(2. Nf3)

King’s indian defenseへ移行できる可能性があります。

ポーンを取ってきた場合(3. dxe5)

ポーンを取ってきた場合(3. dxe5)まとめの盤面へジャンプ

白:ポーンをテイクしてきた場合を見てみます。


黒:ポーンでテイクバックすると、黒番のクイーンが晒されます。


白:クイーン交換。黒番のキャスリングの権利をなくす狙いがあります。
黒:通常クイーン交換をされるとキャスリングの権利がなくなり不利になるイメージがありますが、ラットディフェンスでは意外にも黒番有利となっています。


白:自然なナイトの展開。
黒:ビショップを展開しつつc4を狙います。


白:c4のサポート。
黒:c6で白番のナイトが侵入してこないようにジャンプ先をコントロールします。また、c7のスクエアが黒番キングの退避先にもなっています。


白:ビショップを活かすためのフィアンケット。
黒:白番のキャスリング後のルークでの攻撃をあらかじめ防ぐナイト展開。


白:キャスリング。クイーンサイドキャスリングはルークを即時攻撃に参加させることができるメリットがあります。
黒:キングはルークによるピンから逃れ、安全なc7へ移動。ルーク展開の道を開く意味もあります。


黒:e5のサポート。

ちなみにこの局面ではLichessレート1,200~2,000において黒番の勝率は56%の実績があります。


白:ビショップフィアンケットの準備。
黒:ナイトの展開。この後以下の例にある攻撃が選択肢に入ります。


黒:ナイトとビショップをそれぞれ展開し、弱点になりうるf2を攻める選択肢があります。

ポーンを取ってきた場合(3. dxe5)まとめ:

dポーンを前進させて来た時(3. d5)

dポーンを前進させて来た時(3. d5)まとめの盤面へジャンプ

・キングサイドのスペースを確保していきます。
白:dポーンを前進させてきたときを見てみます。


黒:キングサイドをポーンで支配しスペースを確保します。


黒:それぞれナイトの展開。


白:ビショップでのピン。
黒:ビショップの展開によるピンの解除。


白:黒番にはナイトをf5にジャンプすることによるディスカバードアタックがあるので交換してきます。
黒:ビショップでテイクバック。

(クリックで開閉)白番が交換してこなかったらポーン得できる可能性があります。

図のようにナイトがジャンプしてポーンを取った後、e7のテイクバックに参加できる動きがポイント。


白:e4はビショップの道を開けつつ中央のスペースを確保する手。後で展開するビショップがポーンで攻撃を受けないようにする意図。
黒:キャスリングでキングの安全を確保。


白:最もアクティブなスクエアにビショップを展開。
黒:fポーンのサポート。


白:ナイト展開。
黒:bポーンプッシュの予防、b8のナイト展開の下準備。


白:キングサイドへのキャスリング。
黒:中央をロックしてポーンチェーンを伸ばし、この後は基本通りポーンチェーンの方向(キングサイド)への攻撃を仕掛けていくのが1つの攻め方のアイデアです。

King’s indian defenseDutch defenseによるキングサイド攻撃に感覚が似ているので、これらを使ったことがある人はやりやすいかもしれません。

dポーンを前進させて来た時(3. d5)まとめ:

ナイト展開してきた時(3. Nc3)

ナイト展開してきた時(3. Nc3)まとめの盤面へジャンプ

白:ナイトを展開してきたときを見てみます。


黒:ポーンでテイクし、ナイトへ攻撃を仕掛けます。相手の判断を求めます。


白:クイーンでテイク。
黒:ナイトを展開しつつクイーンを攻撃することでテンポ(時間、ターン)を得ます。


白:クイーンを安全な位置に退避。
黒:フィアンケットの準備。最初にナイトを展開するとピンされるので先にビショップのスペースを開けておきます。


黒:ともにベストなスクエアへナイトの展開。


白:ナイトをピン。
黒:ビショップでナイトをサポートしておきます。


白:ダークスクエアビショップの道を開きます。
黒:ビショップを追い返していくことでテンポを得つつ、キングサイドのスペースを確保していきます。


黒:この手も同様。


黒:一番アクティブなスクエアにライトスクエアビショップを展開。


白:ライトスクエアビショップの交換を誘う一手。
黒:交換には応じず、自分のビショップに紐づけします。相手ビショップを取ってしまうと白番のクイーンの前進を許してしまうことになるためです。一方で相手ビショップがこちらのビショップを取ってくれれば黒番のクイーンを前に配置できます。
「お互い取ることは可能だが、取らずそのテンション(緊張)を維持する」ということを覚えられれば一歩チェスの実力がアップするでしょう。


白:キャスリングでキングの安全を確保。
黒:クイーンサイドへのキャスリング。相手と逆サイドへのキャスリングは激しい展開に繋がります。

ナイト展開してきた時(3. Nc3)まとめ:

まとめ

マイナーな応手であるラットディフェンスは、d4オープニングを使う相手を快適にプレイさせたくない場合に使えるオープニングです。

相手はベストな手を見つけるのに苦労するはずです。
メジャーなd4対策をやり尽くした人は使ってみるのも面白いかもしれません!

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オープニング(定跡)
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