ニムゾヴィッチ・ディフェンスの狙いは?
初手e4の後、2手目にd4と相手がセンターを確保してきた場合、e5でカウンターを仕掛けます。
c6のナイトをキングサイドへ移動させ、キングサイドの攻撃に参加させる狙いがあります。
ニムゾヴィッチ・ディフェンスのよくある流れは?
白:チェスで最もよく指される初手e4。5割程度はこの手が指されます。
黒:c6で対応すれば、これがニムゾヴィッチ・ディフェンスです。珍しい手なので相手は慣れていないはずです。
白:基本通りポーンでセンターを確保してきます。(2. d4)
黒:ここでe5とカウンターを仕掛けます。相手に判断を迫ります。
(クリックで開閉)ここで白番が「2. Nf3」の場合は?
e5とすれば、非常によくある通常の流れに戻れます。ルイロペスやイタリアンゲームに入っていきます。
または、スカンジナビアンディフェンスに入っていくこともできます。
待っているd4が来ない場合は、知っている他のオープニングに移行するとよいでしょう。
白:ナイトを攻撃したい+ポーンで中央を維持したいので前進。(3. d5)
黒:一見変な動きに見えるかもしれませんが、キングサイドへ移動させるための一時的なルート変更なので問題ありません。
(クリックで開閉)ここで「3. dxe5」とポーンを取ってきたら?
あえてdポーンを取らせることで(ギャンビット)、ピース展開を加速させることができます。
黒:eポーンを犠牲にします。
白:ポーンをテイク。白が1ポーン得した状態です。
黒:ポーンを失うかわりにコマ展開で有利に立てます。相手はピース展開0に対して、こちらは2ポースが前線に出ています。
白:自然なナイト展開。
黒:ビショップの前線への展開とピン。
白:ピンの解消。ピンされたとき、守備的に対応する方法です。これでナイトは自由に動けるようになります。
黒:クイーンの展開。クイーンサイドのピースが全て前線に出たので、キャスリングの準備が整いました。
白:自然なナイト展開。
黒:キャスリングにより既に5つのピースが攻撃できる状態になっており、キャスリングも完了している良い形になりました。黒番のルークが相手のクイーンの正面に配置できており、強力なタクティクスを仕掛ける準備もできています。
白:中央支配を強めるc4。
黒:キングサイドへ移動。このナイトはキングサイドへの攻めで活躍します。
白:自然なナイト展開。
黒:ビショップは相手の弱点であるf2を狙っています。b4でピンするのもあり。
白:自然なナイト展開。ナイトは四隅から斜めに2マス離れた位置に展開するのが基本的には良い動きです。
黒:こちらもナイト展開。キャスリングの準備ができました。
白:ビショップを展開し、白番もキャスリングの準備。
黒:d6で中央を固めつつライトスクエアビショップ(c8のビショップ)の道を開きます。ダークスクエアビショップ(c5のビショップ)はポーンの外側にあります。ビショップを活用するために、「ビショップをポーンの外に出した後にd6」とするようにしましょう。
白:キャスリングでキングの安全を確保。
黒:a5にはダークスクエアビショップを守る狙いがあります。ビショップはキングサイドへの攻撃で活躍するピースなのでできるだけ失いたくありません。
<狙い>
・a2-a3, b2-b4とビショップを攻撃されるのを防ぐ。
・ナイトでビショップを狙われたときの逃げ場所をつくる。
白:ピンを警戒した予防の動き。守りに役立つ一方、ビショップサクリファイスの的にされる可能性もある動きです。
黒:キャスリング。一通り、攻める前の下準備が終わりました。
黒番のピースの多くが相手のキングサイドを狙っているのがわかります。
ちなみに、この局面ではLichessレート1,200~2,000において黒番の勝率は62%の実績があります。
ニムゾヴィッチ・ディフェンスまとめ:
キングサイド攻撃のアイデア
キングサイドを崩すために使えるアイデアをいくつか紹介します。
これらを使って攻撃を組み立ててみましょう。多くのピースをキングに近づけていくのが攻めを成功させるコツです。
ナイトとクイーン
・ナイトをキングに近い位置に配置、クイーンを侵入させてチェックメイトの圧力をかける。
ビショップ
・f2のポーンはキングへピンされているので、g3地点を守れなくなっている事を利用する。
・h3のポーンへのビショップのサクリファイスを考える。
ルーク
・弱点のe4ポーンへ攻撃を仕掛ける。ポーン交換後のルークの攻撃参加。
上記の攻め方を組み合わせ、キングサイドを狙っているすべてのピースを活用すると上手く攻めを組み立てていけるでしょう。
まとめ
初手e4への応手としては珍しい応手となるニムゾヴィッチディフェンスの紹介でした。初手e4へのNc6の使用率は1%なので相手の予想を外すことができるオープニングです。
相手の初手e4の対応に刺激がほしい場合や、相手の慣れた展開に持ち込まれたくない場合に使ってみてはいかがでしょうか。