はじめに

今回は、「ピースアクティビティー(駒の活動性)」について解説します。
ピースアクティビティーは勝敗を左右する重要なポイントですが、軽視されがちです。
ポイントをおさえて、攻撃的チェスに活かしましょう!
ピースアクティビティー(Piece Activity)とは?
ピースアクティビティーとは、直訳すれば「駒の働き、駒の活動性」のことです。
駒がどれだけ働いているか、盤面で自由に動けているかを示す考え方です。
まずは「ピースが好むマス、ピースが好まないマス」を知りましょう。
駒の働きが良い例

駒の働きが良い例は・・・
・オープンファイルにあるルーク
・アウトポストに配置されているナイト
・オープンダイアゴナルに配置されているビショップ
・オープンファイル/ダイアゴナルに配置されたり、相手のキングの近くにいるクイーン
などです。
利きが遠くまで利くピースは、ポーンに邪魔されない開けた場所を好みます。
「ピースの利きが発揮される場所=駒が好きなマス」と考えればOKです。
チェス用語については以下で扱っています。
駒の働きが悪い例

駒の働きが悪い例は・・・
・守りのために使われているルーク、閉じ込められたルーク
・チェスボードの隅や端に配置されているナイト
・自分のポーンの後ろにあって、利きがブロックされているビショップ
・オープンファイル/ダイアゴナルに配置されず、攻めに使いにくい位置にいるクイーン
などです。
利きがブロックされていたり、中央から離れているために攻守に参加しにくいピースと考えればOKです。
「ピースの利きが発揮されない場所=駒が嫌いなマス」と考えればOKです。
ピースアクティビティーはなぜ重要なのか
●チェスに慣れてくると、多くの人はマテリアルで損しないことに執着して、ピースアクティビティを軽視してしまいます。
「ポーン1つでも失ったら負ける」と考えてしまいがちです。
●「ポーン1つを失う代わりにピースアクティビティを得る」という考えかたを持つと、マテリアルだけで考えるチェスより良い手を選べる可能性が広がります。
ポイントで損しないことばかり重視していた人なら、ピースアクティビティーを大切にすれば一段階レベルアップできる可能性があります。
マテリアルのポイントを失う代わりに、ピースの働きを高めるという、「代償(Compensation)※」を得る考え方を実戦で使ってみましょう!
※代償(Compensation):駒損の代わりに得られる見返りのこと
ピースアクティビティを高める方法
最もアクティブ(活動的)な位置に駒展開する

基本は、最もアクティブ(活動的)な位置に駒展開することです。
上の項目で例を上げた「ピースアクティビティー(駒の活動性)が高い例」にあるマスに、各ピースを配置することを考えましょう。
ポーンブレイクを活用する

適切な場所とタイミングでポーンブレイクをしましょう。
オープンなラインを得られ、ビショップやルークを活かせる状況になります。
ポーンブレイクについては以下の記事で解説しています。
ポーンを突く
場合によっては、ポーン1つ捨ててでもオープンなラインや使えるマスを作ったほうが有利になれる場合もあります。
多くの人はポイントで不利になることを恐れて、この手を考えません。
<制限されていたナイトを活用できるようになる>
ポーンプッシュでナイトが動けるマスをつくる

「ポーン1つ捨てて自分のピースを開放すること」を選択肢として考え、適切なときに実践できれば、1段階上のレベルに到達できるでしょう。
「成長が止まっている」と感じている人の、成長するためのきっかけになる可能性があるので、伸び悩んでいる人にはぜひ身につけてほしい考え方です。
高いピースアクティビティを活かす方法
高いピースアクティビティーがあれば、タクティクスの可能性、攻めが成功する可能性が高まります。
タクティクスを探す
高いピースアクティビティがあると、タクティクスを見つけられる可能性が高まっています。
良い手がないか探してみましょう。
高いピースアクティビティーを、マテリアル的な有利やチェックメイトに変換できるチャンスです。
ポーンプッシュする
ポーンプッシュして局面をオープンしたり、相手のポーン構造を乱すことで攻めを成功させやすくなります。
すでに高いピースアクティビティがあるので、それを活かしたタクティクス・攻撃が可能です。
アルファゼロから学ぶ

アルファゼロは、Stockfishを倒したこともある強力なエンジンです。
ピースアクティビティーとスペースを活用した戦い方は、多くの人に衝撃を与えました。
Chess.comのこちらの記事で棋譜が紹介されているので、興味がある方はチェックしてみてください。
ピースアクティビティーの重要性が感じられると思います。
さいごに
ポーン1つの損得だけにこだわっていると、プレーが窮屈になりがちです。
マテリアルは大切ですが、「ピースアクティビティー」もまた大切です。
局面によっては、ポーン1つを失う代わりに駒の活動範囲を広げ、攻めのチャンスをつかむ判断が求められます。
この積極的な考え方を取り入れると、マテリアルにしばられない自由な発想が生まれ、よりダイナミックなチェスが指せるようになります!😊
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