シシリアンディフェンスには多くのバリエーションがあり、ここではカンバリエーションをご紹介します。
ナイドルフの良い点も利用した柔軟な動きになっています。
カン・バリエーションの特徴は?
ナイドルフバリエーションと異なり、d7にポーンが存在する点が特徴。
相手の白マスビショップでのチェックができなくなっています。
e6がすでに開かれているため黒マスビショップの展開が非常にしやすくなっています。
また、e6のおかげでフライドリバーアタックに悩まされません。
キングサイドのナイト展開が比較的遅いので、ナイトを狙われにくいバリエーションです。
順調に展開していくとクイーンサイドからのダブルビショップ・クイーンのバッテリーが相手のキングサイドを脅かす強力なポジションを確保できます。
カン・バリエーションのよくある流れは?
白:初手はe4。チェスにおいて最もよく指される一手です。
黒:c5とするとシシリアン・ディフェンスになります。d4をコントロールし、白によるポーン2つでのセンター支配をさせない意図があります。
白:ナイト展開。次のセンターへのポーンプッシュの準備になっています。
黒:e6は黒マスビショップの道を開く一手です。
また、d7が動いていないので白番によるビショップでのチェックの影響を受けにくくなっており、これがナイドルフやドラゴンと異なる点です。
ビショップでのチェックをされたくない人に適したバリエーションと言えます。
白:ポーンを突いてセンターにアタック。
黒:ポーンでテイク。
白:ナイトでテイクバック。
黒:a6はナイドルフバリエーションにも見られる攻防一体の手です。
(クリックで開閉) a6の意図は?
攻撃的意図
a6をサポート役にすることでポーンをb5に進め、他のピースが動けるスペースを確保する狙いがあります。
これにより、攻撃の幅が広がります。
ビショップはb2から中央へ斜めににらみを利かせる配置が可能になります。
守備的意図
a6は相手のb5への侵入を防いでいます。
特にビショップによるチェックやナイトのジャンプを防いでいます。
他のバリエーションでも使える考え方で、a6によって相手の攻撃を予防したいときに使ってみましょう。
白:自然なナイトの展開。
黒:b5でクイーンサイドのスペースを広げます。
黒番は序盤にスペースの窮屈さで苦労することが多いので、スペースを確保してピースの可動域を増やすことは序盤での重要なポイントの1つです。
b5はビショップをフィアンケットする準備にもなっています。
白:黒番のポーンでb4とされてナイトを邪魔されたくないのでそれを防ぐ一手。
黒:ビショップをフィアンケット。ダイアゴナル(斜め)によくビショップが利いています。
ビショップがポーンに邪魔されることなく斜め一直線に利いていれば、そのビショップは「良いビショップ」と言えます。
白:e4をサポートするためのビショップ展開。
黒:クイーンを展開し、キングサイド・クイーンサイドどちらにもにらみを利かせることができています。
白:キングの安全を確保するためのキャスリング。
黒:自然なナイト展開。
白:ダブルポーン狙いを含んだビショップの展開。
黒:黒マスビショップを展開しクイーンとバッテリーを組みます。
キング前のポーンをテイクする脅威を生み出しています。
白:ポーンを取られたくないので前進。
黒:ナイトの展開。
白:ナイトでテイク。
黒:クイーンでテイクすると、次はクイーンが前になったバッテリーを組むことができます。
相手がe4を間違えて前進させてくれば即チェックメイトになる強力なポジションになっています。
ダブルビショップとクイーンがキングサイドを狙っている、黒としては理想的な攻撃体制になっています。
白:e4を守るルーク展開。
黒:ビショップをキックします。
白:ビショップを退避させます。
黒:キャスリングにより黒番もキングの安全を確保できました。
黒として比較的快適なポジションに到達できました!
カン・バリエーションのよくある流れ:
まとめ
ナイドルフバリエーションやドラゴンバリエーションと異なる点は、2手目にd6としない点が特徴です。
これにより黒マスビショップの展開が容易になり、クイーンサイドのスピーディーな展開により相手のキングサイドへ脅威を生み出しつつ、さらに展開が続く好循環が生まれるバリエーションです。
シシリアン・ディフェンスの主要な2バリエーションで相手の攻めへの対応に困っている人は、カン・バリエーションを使うと比較的快適に序盤を進められる可能性があるのでぜひ試してみてください。