はじめに
チェスにはグリークギフトサクリファイスをはじめ、典型的なサクリファイスの方法がいくつかあります。
よくある形を知っておけば、実戦でサクリファイスを見つけることができる可能性が高まります。
まずはこれら5つの例から始めてみましょう。
サクリファイスの効果
サクリファイスの効果は何でしょうか?
よくあるイメージだと、キングの周辺の駒を取り除いてチェックしやすくする・・・というイメージではないでしょうか。
サクリファイスの効果はそれだけではありません!
<サクリファイスの効果の例>
1:オープンにしてロングレンジピースの利きを活かせる
→駒がなくなるのでロングレンジピース(Q, R, B)を活用できます。
2:キングなどを強制的/半強制的におびき寄せる(デコイ、アトラクション)
→キングを半強制的に危険な位置に誘導できます。
3:相手の守りの連携を乱す、断ち切る
→駒同士の連携を半強制的に断ち切ることなどに使えます。
連携が切れれば、守られていない駒が発生し、タクティクスのターゲットになります。
4:スキュアやピンのための環境を作り出す
→ロングレンジピース(Q, R, B)と対象の駒の間に2つ駒がある場合、その1つを取り除くことで狙ったピンを発生させます。
5:イニシアティブを握れる
→サクリファイスによって相手に対応を強制することで、攻めの主導権を得られます。
など、1つのサクリファイスで複数の効果を生み出せます。
例えば・・・ビショップの3点を失う代わりに、「相手の駒の除去+相手の駒の配置を強制的に悪い形に組み替えさせる」ことで3点を超える影響を与えようとしているんです。
サクリファイスにより生み出される効果を意識できいれば、有効なサクリファイスを見つけるための大きなヒントになります。
サクリファイスの理解を一歩深められたでしょうか?
それでは具体例を見てみましょう!
fポーンへのサクリファイス
f2, f7へのサクリファイスは、最も基本的なサクリファイスです。
スコッチギャンビットをはじめとして多くのオープニングで使える可能性があります。
この場合、fポーンへサクリファイスすると・・・
・キング前をオープンにできる
・キャスリングの権利を奪う
・キングをおびき寄せる
・クイーンを攻撃に参加させる局面をつくる
f2,f7のマスへビショップをサクリファイスできる状況があるときは、検討してみましょう。
hポーンへのサクリファイス(グリーク・ギフト・サクリファイス)
グリークギフトサクリファイスとは、キャスリングしたキングのhポーンへサクリファイスを仕掛ける動きのことです。
最も有名なサクリファイス方法の一つです。
この場合、hポーンへサクリファイスすると・・・
・キングの近くをオープンにできる
・キングを前方におびき寄せる
・ナイトやクイーンでのチェックメイトスレットにつながる
条件がそろったときに使えば、駒得やチェックメイトにつながります。
名前が付いたサクリファイス方法ですが、オープニングによって成功する条件が異なります。
上手くいくか検討してから使うようにしましょう!
gポーンへのサクリファイス
この場合、gポーンへサクリファイスすると・・・
・キングの前をオープンにできる
・キング前のナイトの守りを弱める
・キングを前方におびき寄せる
・絶対ピンを活用できる可能性がある
といった効果があります。
・ナイトを相手のキング近くに配置できた場合
・キングサイドのナイトにビショップの利きがある場合
などに検討してみましょう。
eポーンへのサクリファイス
中央に残っているキング
相手のキングが中央にとどまっている時、eポーンへのサクリファイスが有効になる場合があります。
この場合、eポーンにサクリファイスすると・・・
・キングの正面のポーンを取り除きオープンにできる
・クイーンを参加させやすい
・相手に弱点を多く発生させ、相手に正確な手を要求できる
eポーンへのサクリファイスをすることで、相手の連携をどのように乱せるか、自分のピースの攻撃参加は上手くいくか考えてみると面白いです。
キャスリングしたキング
ルークを絶対ピンできるとルークは動けません。
チェックメイトスレットを止めるのにルークが役に立たず、絶対ピンの強さがわかります。
白はクイーンを失います。
さいごに
よくあるサクリファイスとして知識を持っておくと、そこから応用した別のサクリファイスを見つけられます。
まずは典型的なパターンを知って、サクリファイスを成功させるのには何が必要なのか大まかな雰囲気をつかみましょう。
上で示したサクリファイスによる効果も把握しておくと、見つけるための助けになるはずです。
サクリファイスを見つけるときの基準として使ってみてください。