最強のチェスプレイヤーを決めるのが世界チェス選手権です。
「世界選手権の仕組みはどうなっているのか?参加者は誰か?どうやって挑戦者は決まるのか?いつ開催されるのか?挑戦までの流れは?」など、様々な疑問を解消します。
世界チェス選手権とは?
チェスの世界チャンピオンを決めるイベントです。
「前回の世界選手権の優勝者」 と 後述する「Candidates Tournament2024の優勝者」が1vs1で争います。
2023年4月に行われた世界チェス選手権では、ディン・リレン(中国)がイアン・ネポムニャシー(ロシア)に勝ち世界チャンピオンとなりました。
世界チェス選手権はいつ開かれるの?
世界チェス選手権は近年では2014年からは2年のサイクルで行われています。
直近の開催年は以下の通りで一部イレギュラーがあります。
<開催年>
2014、2016、2018、2021、2023、2024
(※パンデミックにより2020年は中止され、2021年に延期されました。)
2024年世界チェス選手権は、シンガポールにて2024年11月25日~12月13日で予定されています。
(2024/10/26時点の情報、FIDE公式情報はこちら)
画像出典:https://wcc.fide.com/
対局方式(レギュレーション)は?
簡潔に言うと、基本的には持ち時間の長いゲームを14局でチャンピオンを決定しますが、それでも優劣がつかなければより持ち時間の短いゲームでチャンピオンを決める方式です。
●世界チェス選手権は14ゲームで行われ、7.5ポイント以上取った方が勝者となります。
(勝ちで1ポイント、引き分けで0.5ポイント、負けで0ポイントです。)
●14ゲームはクラシカルゲームで持ち時間が長く、最初の40手は一人120分、次の20手が60分、その後は15分で1手ごとに+30秒のインクリメント(1手ごとに30秒追加される)付き。
●14ゲーム終えて同点だった場合はタイブレークで勝者が決定されます。
・まずは25+10による4試合 (25分の持ち時間+1手ごとに10秒の追加)
・それでも決まらなければブリッツの 5+3による2試合
・それでも決まらなければブリッツの 3+2を白黒交互に行い、先に勝ったプレイヤーがチャンピオンとなります。
持ち時間が短いほうが思考時間が短いため、プレイヤーが不正確な手を指す可能性が高まり勝敗が分かれやすくなります。
世界選手権の挑戦者はどうやって決まるの?
世界選手権の挑戦者は、Candidates Tournament (候補者トーナメント)という世界チェス選手権の挑戦者を決定するトーナメントにより決まります。
8人のプレイヤーが参加し、同じ相手と2回対戦する総当りのトーナメントで争われます。
優勝者は世界チェス選手権の挑戦権を得ます。
このトーナメントに参加できる基準が年によって変更されることがあるので、ここではCandidates Tournament 2024への参加基準をご紹介します。
<Candidates Tournament 2024参加基準>
・2023年世界選手権の準優勝者1名
・2023年チェスワールドカップの上位3名
・FIDE グランドスイストーナメント2023の上位2名
・2023 FIDEサーキット(チェスのトップトーナメントで構成されるランキングシステム)のTOP1名
・2024年1月でレーティングが最も高い者1名
以上の合計8名が候補者となります。
主要なトーナメントの上位者か、レーティングが最上位の者がCandidates Tournamentに参加できるわけです。
<2024/1/22時点の候補者>
・イアン・ネポムニャシー(Ian Nepomniachtchi):ロシア、FIDE rating 5位
・プラグナナンダ(R Praggnanandhaa):インド、FIDE rating 13位
・ファビアノ・カルアナ(Fabiano Caruana):アメリカ、FIDE rating 2位
・ニジャット・アバソフ(Nijat Abasov):アゼルバイジャン、FIDE rating 102位
・ヒカルナカムラ(Hikaru Nakamura):アメリカ、FIDE rating 3位
・ヴィディット・グジュラティ(Vidit Gujrathi):インド、FIDE rating 14位
・ドンマラジュ・グケシュ(Gukesh D):インド、FIDE rating 25位
・アリレザ・フィルージャ(Alireza Firouzja):フランス、FIDE rating 6位
画像出典:https://www.chess.com/news/view/abasov-on-replacing-carlsen
Candidates Tournament 2024の勝者が決まりました
ドンマラジュ・グケシュ(Gukesh D)がCandidates Tournament 2024を制し、現世界チャンピオンのディン・リレンと対決することになりました。
世界選手権までの道をまとめると?
挑戦者、現チャンピオンに分けて簡潔にまとめるとこのようになります。
<挑戦者>が世界チャンピオンになるまでの流れ
Candidates Tournament 2024の候補者になるための参加基準を満たす
→ Candidates Tournament 2024で優勝し、世界チェス選手権の挑戦者となる
→ 世界チェス選手権で勝利し、世界チャンピオンとなる
<現チャンピオン>が防衛するまでの流れ
世界チェス選手権 の挑戦者と対局し勝利
→ 世界チャンピオン防衛
【タイムライン】主要トーナメント → 候補者トーナメント → 世界選手権(2024)
大まかには以下のようなスケジュールで世界チェス選手権まで進んでいきます。
<2024年世界チェス選手権までのタイムライン>
●主要トーナメント:
・チェスワールドカップ 2023/7/29-8/25 終了
・グランドスイス 2023/10/23-11/6 終了
↓
●候補者トーナメント: 2024/4/2~4/25 終了
↓
●世界チェス選手権: 2024/11/25~12/13。場所はシンガポール。
補足:主要トーナメントの情報はFIDE公式で確認できます。(https://calendar.fide.com/)
さいごに
世界選手権、それに至るまでのイベントの流れをご紹介しました。
大まかにでもスケジュール感が分かれば、「2024年4月頭にはCandidates Tournamentがあって選ばれた8人が挑戦権をかけて争うんだなぁ」など世界チェス選手権に関わるイベントにも興味が湧いてくるかもしれません。
チェスをしているとトップレベルのプレイヤーの話も入ってくるものなので、そのあたりの知識もいくらか持っておけば楽しみの一つにできると思います。