チェスで優位に立つテクニックをご紹介します。
相手のマイナーピース(ビショップやナイト)、ルークやクイーンをタダで取ったり、駒得するためのキーとなる場面をパターン認識できれば実力も向上します。
また、直接の駒得に繋がらなくても対局を有利に進めるのに役立つ考え方もご紹介します。
- ナイト&クイーンの連携で駒得
- ナイト&クイーンの連携でチェックメイト
- 相手fポーン不在を利用して駒得
- 相手の守られていない4ランクのビショップをタダ取り(フォーク)
- ピンした駒を攻撃して駒得
- ピンされた場合のカウンター
- ピンを守りでも使う
- ピンを前線の戦力維持に使う
- ピンから逃げてタクティクスを防ぐ
- クイーンへピンされた?実はピンを逆利用できる場合もあります
- 守り駒の除去(アンダーマイニング、removing the defender)
- にらみ合った駒、取る?逃げる?そのまま?それとも他の手がある?(コリニアームーブ/collinear moves)
- 相手ポーンを守りに使う(バリケードとして使う)
- キングでフォーク!?
- チェックをポジション改善に使う
- ダブルチェックに関わる駒は基本取られない
- キングをできるだけ攻撃されない位置に移動する
- 相手のf6, c3のクイーンは駒得のチャンス(スキュア)
- 相手キングの逃げ道を塞ぐ(Mating net)
- ナイトにチェックされたら、どこに逃げるのがベスト?
- 駒交換の損得をどうやって計算する?
ナイト&クイーンの連携で駒得
あまり動かすべきでないfポーンを相手が動かしました、どうすれば有利に立てるでしょうか。
ポイントはQh5+のチェックです。ルークを取ることができます。
Ne5にナイトを展開でき、クイーンの道が開いていることがトリガーになります。
↓を動かして確認してみてください。
※f6にポーンがない時は相手ナイトがクイーンを攻撃してくるので注意。こちらのポーンがある場合のみ有効。(gif参照)
ナイト&クイーンの連携でチェックメイト
1番目と似た展開ですが、相手はナイトがいなくなっています。
この場合はチェックメイトまで持っていけます。
同様にクイーンでチェック。
ポーンで守ってきますがナイトではなくクイーンでテイク。
fポーンを安易にプッシュするのは危険であることがわかる局面です。
相手fポーン不在を利用して駒得
次もfポーン関連です。fポーンがいなくなっています。
こちらも正解はQh5+チェックです。同様にルークを取れます。相手の動きによってはチェックメイトまで持っていける場合もあり、大幅に有利になります。
fポーンを不用意に動かしている場合はこちらに有利な手が隠されている可能性があります。
ちなみに盤面はオープニング:Danish gambitの開始直後です。
相手の守られていない4ランクのビショップをタダ取り(フォーク)
守られていないビショップはタダで取れるチャンスがあります。
Qでのフォークです。開始直後にビショップを無防備な状態で展開することが比較的あるので、4,5ランクにビショップが出てきたら常にアンテナをはっておきましょう。
チェスでは将棋と違ってクイーンという斜めと縦横に動けるピースがあるので、このようなフォーク(両取り)がよく見られます。
ピンした駒を攻撃して駒得
価値の高いピースへのピンには駒得できるチャンスがあります。
黒:ポーンでナイトへのルークからの攻撃を防ぎます。
白:ポーンでナイトを攻撃。キングへのピンなので絶対逃げられません。
白:ナイトを取ることができました!
価値の高い駒へのピン+ポーンでのピンしたピースへの攻撃は、局面を大きく有利にできます。
ピンした後には「ポーンで攻撃できないか?」ということをセットで確認しましょう。
別の例:
クイーンに対しても同様です。この局面ではビショップがナイトをクイーンへピンしています。
ナイトが逃げるとクイーンを取られるので、ポーンでの攻撃が有効です。
ピンされた場合のカウンター
面倒なナイトへのピンに対してカウンターができる場合もあります。
これも無防備なビショップの弱点を突いた上手い返しです。相手がナイトを展開する前にビショップを展開してくる場合がチャンスです。ナイトがc6に出ていれば、本来はビショップは守られているはずです。
ピンを守りでも使う
攻撃された場合、取り返すか・逃げるか・他のピースで守るか?の3択しかないイメージがあります。しかし第4の手があります。この場面では取れないので逃げたくなりますが・・・
ポーンをキングへピンして、ナイトを間接的に守ることができます。
ポーンがナイトを取ることはキングが攻撃されるので不可能です。
これを知った時は目からウロコでした。実践でぜひ使ってみてください。
ピンを前線の戦力維持に使う
ピンの使い方はまだあります。
例えばクイーンをどうしても前に出したいときがあった場合、相手のナイトに攻撃されがちです。
有効な対処法はあるでしょうか?
ナイトで攻撃された場合、ビショップでピンすることでクイーンへの攻撃を無効化できます。
キングへのピンなので動けません。(絶対ピンと言います。)
クイーンを逃がすことが不要になるので、次の利点があります。
・前線に展開した駒を維持できる
・テンポを失わない(好きな駒を動かす手数を失わない)
ピンから逃げてタクティクスを防ぐ
よくあるキャスリングしたキングへの攻め方に図の赤矢印のBa3があります。
b2ポーンがキングへピンされているため取れず、b2-b3とポーンを動かしてキングサイドのポーン形に弱点ができてしまいます。
それを防ぐため青矢印のKa1としてピンから逃げれば、ピンを利用したタクティクスから逃げられます。
クイーンへピンされた?実はピンを逆利用できる場合もあります
クイーンへのピンが嫌いな人がいるかも知れません。
実はピンされる側が反撃に使える場合もあります。
ピンされた駒でチェックをかけることができれば、ディスカバードアタックを決めることができます。
ピンしてきた駒は守られてないこともよくあるので狙い目です。
何かの駒をクイーンへピンされたら、「ピンされた駒でチェックできないか?」と考えてみましょう。
(※この局面ではルークをサクリファイスしてクイーンを取れました。)
守り駒の除去(アンダーマイニング、removing the defender)
ピースを守っている価値の高い駒を攻撃すると、守られていた駒の守りが外れます。
ピンできた場合、守り駒への攻撃ができないか考えましょう。
にらみ合った駒、取る?逃げる?そのまま?それとも他の手がある?(コリニアームーブ/collinear moves)
チェスではルーク同士、ビショップ同士、クイーン同士がにらみ合う場面がよく発生します。
そのときに使える第4の選択肢が「コリニアームーブ(同一直線上の動き)」です。
例えばこの場面では黒のルークは相手ルークを取るか、そのままにしておくかしか選択肢がないように思えますが・・・
このように「コリニアームーブ(同一直線上の動き)」をすることで、メリットを得ることができます。
ルークを取られてもクイーンで取り返せる位置がより相手側になり、クイーンのポジションを改善できます。
相手ポーンを守りに使う(バリケードとして使う)
チェスと将棋の違いに、ポーン(歩)の攻撃先の違いがあります。
・将棋:歩の1マス前を攻撃
・チェス:ポーンの斜め前1マスを攻撃し、正面は攻撃できない。
これを利用して下のように相手ポーンをバリケードとして使うことができます。
相手は自分の駒を取ることができないのである意味最強の防御になります。
メリット・デメリットがありますので見極めて使うようにしましょう。
メリット:
・取られない守り駒として使える
デメリット:
・相手ポーンが進んでいると、プロモーションされる危険がある
・相手クイーンと連携されるとクイーンとポーンがお互いを守れるので脅威になる
キングでフォーク!?
キングは逃げるだけの駒というイメージがありますが、攻める駒としても使えます。
ピンチに陥っていても、油断している相手を「キングでフォークする」なんてこともできます。
チャンスを見逃さないようにしましょう。
チェックをポジション改善に使う
チェックをいつすべきか迷いますよね。
答えの一つをご紹介します。ポジション改善したいときにチェックを使うことができます。
<例1>ルークとクイーンでバッテリーを組むことでルークをタダ取りできます。
<例2>プロモーションの妨害
このままではポーンに間に合わないように見えますが・・・
チェックでポジションを改善し、ポーンを取れる位置まで来ることができました。
守りにも有用なテクニックです。
ダブルチェックに関わる駒は基本取られない
ダブルチェックとは、2つの駒で同時にチェックをかけることです。
ダブルチェックには強力な特徴があります。
1:相手のキングは必ず別のスクエアに逃げなければならない
→片方のチェックを防いでももう片方のチェックは防げないため。
2:ダブルチェックのために移動した駒は相手のキング以外にはキャプチャされない
→片方をキャプチャしても、もう片方がチェックしているため取れない。
2を活かせば一見取られそうな場所にもピースを置けるため、動きの選択肢が広がります。
例1:ビショップをクイーンに取られそうな位置に置きますが、取られません。
例2:ルークでクイーンを取られそうですが、ダブルチェックなのでルークでは取れません。
キングをできるだけ攻撃されない位置に移動する
キングを安全な位置に逃しておく理由は何でしょうか。
下のように現時点では危険はなさそうです。ビショップでチェックはできますが、その後逃げればよさそうに見えます。しかし・・・
不用意なクイーンの展開の後にビショップでキングへのピンをされてしまいました。
キングを利用したタクティクスのチャンスを相手に与えないために、予めキングを隠して危険の芽を摘んでおくことが重要です。
「自分は見落とさない」と思っても、手数を重ねていくとキングが晒されていることを忘れます。
予防的な動きも大切です。
相手のf6, c3のクイーンは駒得のチャンス(スキュア)
相手のクイーンがf6, c3に来た場合、タクティクスの的にできる場合があります。
相手のロングキャスリングの場合はスキュア(串刺し)をしており、ルークを取れます。
(また、これとは異なる局面ですがf6, c3のクイーンをトラップして取れる可能性もあります。)
相手キングの逃げ道を塞ぐ(Mating net)
キングをすぐにチェックして追いたくなりますが、よく見るとチェックしても逃げられそうです。
どのようにすればよいでしょうか。
キングが逃げそうなときは、先回りして攻撃を利かせておくことが大切です。
ここではまずポーンで逃げ道を塞ぎました。
その後ビショップでも塞ぎ、完全にキングは逃げられなくなりました。
最後は落ち着いてRh8でチェックメイトできます。
チェックを掛ける前に「キングを捕まえられるのか?」と一度考えてみましょう。
ナイトにチェックされたら、どこに逃げるのがベスト?
ナイトは動きがトリッキーで相手にすると嫌だと感じる人も多いと思います。
そんなナイトからうまく逃げるヒントをご紹介します。
ナイトからチェックをかけられるまでの手数を知っておくと、自分の指したい手を指す時間が生まれます。
<ナイトの斜め隣:2手で到達>
次の手でチェックを再びかけられるのでできるだけ避けたい。
<ナイトの縦横の隣:3手で到達>
2手でチェックとなるので少し時間を稼げる。
ちなみにナイトから離れる方向に縦横どちらかに移動しても同様。
<ナイトから斜めに1マスあけたマス:4手で到達>
チェックまでに3手かかるのでナイトからの攻撃を避けるのにベスト。
まとめると・・・ナイトはそれぞれ、
赤:2手で到達
緑:3手で到達
青:4手で到達
となります。
何手でチェックされるかは、「エンドゲーム(終盤)で自分のキング以外のピースを自由に動かせるターン数」に関わってきます。したがって適切なスクエアに逃げられれば勝ちに一歩近づけるでしょう。
駒交換の損得をどうやって計算する?
駒交換をした結果、果たして自分は得をしているのか?損をしているのか?すぐにはわからないことがあります。
その場合の計算の方法について一例を紹介します。まずはこの局面のタクティクスを考えてみます。
計算にはキャプチャごとにプラスマイナスを計算していく方法がおすすめです。
例えば以下のようにラインを進めながら計算します。:
ナイトを取られた:-3
クイーンを取った:-3+9=6
クイーンを取られた:6-9=-3
ルークを取った:-3+5=2
ビショップを取った:2+3=5
結果、5ポイント得であることがわかりました。
今後も追記していきます。