シンプルでも強力なScotch gambit(スコッチギャンビット)を紹介します。
Scotch gambitは自分のポーンを犠牲にして、クイーンを展開しやすくする攻撃的なオープニングです!大まかな流れを見てみましょう。概要をつかむことが実力向上につながります。
更に攻撃的なMax Lange AttackやNakhmanson Gambitにも移行もできます。

Scotch gambitとは?
よくあるe4開始の展開からd4と突くのがScotch gambit/スコッチ・ギャンビットです。
相手が取ってくる確率は78%。テイクが最善手なので、d4を相手が取ってこない場合でもd5へのポーンプッシュなどで有利な展開に持ち込めます。
チェスにおいて弱点であるfポーンへのサクリファイスの感覚を養うのに適したオープニングです。数回使ってみれば強力なタクティクスにつながるポイントを体感でき、攻守にわたってどこに目をつければ良いかが学べるメリットがあります。

Scotch gambitのよくある流れ
白:初手e4、チェスで最もスタンダードな初手。中央支配を狙います。

黒:e5は白と同様に中央支配をしたい狙いがあります。
白:ナイトでe5を攻撃。マイナーピースを序盤に展開するチェスの基本にも則っています。

黒:e5を守るためのナイト展開。
白:ここでd4とポーンを差し出すのがスコッチギャンビット。
スコッチギャンビットは非常によくある展開から仕掛けられるので、手軽にプレイできるところがメリットの一つです。

黒:ポーンをテイク。
白:ポーンは取り返さずビショップを展開します。これでスコッチギャンビットの仕掛けの準備が整いました。
この後サクリファイスを組み込んだりできる可能性があります。

ナイトを展開してきた場合(4… Nf6)
「ナイトを展開してきた場合(4… Nf6)」まとめの盤面へジャンプ
ナイトを展開してきた場合を見てみましょう。

白:相手の弱点であるf7のマスを狙っていきます。
その後相手がビショップを展開するのを待って、ナイトをサクリファイスをしかけます。

黒:ビショップの利きをブロックするためにポーンを突いてきます。
白:ポーンでテイク。

白:キャスリングでキングの安全を確保。
※ここですぐにNxf7とサクリファイスするのはブランダー(悪手)です。
ビショップ展開を待たないと自分のキングが晒されているため、ナイトとキングをクイーンでフォークされます。先走らないように注意しましょう。

黒:キャスリングしようとビショップを展開してきます。
白:相手ビショップにより、e7スクエアが塞がれたので、サクリファイス。

黒:キングでのテイクで相手はキャスリングの権利がなくなります。
白:クイーンがでキングとナイトをフォーク。

あわよくばチェックメイトまで持っていける可能性もあるラインです。
↓ここまでの流れを確認してみましょう。
<ナイトを展開してきた場合(4… Nf6)の流れ>
ナイトを展開してきた場合2(4… Nf6):Max Lange Attackへ移行
「ナイトを展開してきた場合2(4… Nf6):Max Lange Attackへ移行」のまとめの盤面へジャンプ
別の展開もあります。「マックスランゲアタック」です。
白:まずキャスリングします。

黒:ビショップを展開。
白:ポーンでナイトを攻撃。

黒:ポーンでビショップへのカウンター。
白:ナイトをテイク。

黒:ビショップをテイク。実質ビショップとナイトの交換になりました。
白:ルークでチェック。ピースを展開しつつ相手を攻撃できるのは良い手であることが多いです。

黒:自然な展開と守りのためにビショップでガード。
白:ナイトでビショップを狙います。ピンされた駒を狙うのは攻撃の基本です。

黒:邪魔なポーンをクイーンでテイク。
白:ビショップをテイク。

黒:クイーンでは取れないのでポーンでテイク。これによりポーン構造が悪くなります。
白:キングとビショップのフォークをきめます。

ちなみにここまで上手く行けばLichessレート1,200~2,000での勝率はこの局面で79%の実績があります。

白:ビショップをテイクできました。この時点でビショップ一つ分得しています。

さらに駒得できる場合もあります。
相手がキャスリングしてきた場合、ビショップでスキュアできます。
Qf8に逃げれば回避できますが、それを見つけられない人も割といるのでチャンス。

<ナイトを展開してきた場合2(4… Nf6):Max Lange Attackへ移行の流れ>:
攻撃的な「4… Bc5」の場合は?

白:c2-c3と仕掛けます。テイクさせてクイーンのための道を開ける狙いがあります。

白:Bf7とサクリファイス!
サクリファイス(Sacrifice)とは、自分のピースを犠牲にすることで自分の勝ちに近づける見返り(相手のキングを危険に晒す、結果的に駒得する、ポーンの壁に穴を開けて局面を打開するなど)を得る動きのことです。
サクリファイスは見栄えがよく、チェスの魅力の一つと言っても過言ではありません。
対局中に使える場面はないか常にアンテナを張っておくことが重要です。

白:クイーンの展開でフォークします。
相手はキングが動いてしまうため、キャスリングの権利がなくなります。チェスにおいてはこのキャスリングの件がなくなるのは痛く、これによってキングを安全な場所に移動するのが難しくなります。

この盤面では、Lichessレート1,200~2,000では白番の勝率が66%となっています。

<攻撃的な「4… Bc5」の場合>
相手が安全に「4… Be7」としたとき
「相手が安全に「4… Be7」としたとき」のまとめの盤面へジャンプ

白:こちらもc3とした後・・・

白:Qd5でチェックメイトの狙いを仕掛けます。

白:相手はナイトで守りますがこちらのビショップでキャプチャし、守り駒を減らします。

白:ポーンをテイクし、相手キングを晒します。
キングが晒されるとフォーク・ピンなどのテクニックのターゲットにされやすく、安全な場所に移動するために手数がかかるため相手としては相当なダメージとなります。


この盤面では、Lichessレート1,200~2,000では白番の勝率が58%となっています。

<相手が安全に「4… Be7」としたとき>
「4… d6」の場合
d6としてきた場合、黒番はナイトでポーンをキャプチャしてナイト交換を持ちかけます。
サクリファイスは狙わずに自然な駒展開で有利な形にしていきます。

白:ナイト交換により、クイーンが中央に展開できました。
相手ナイト不在のため追われにくくなっています。

白:ビショップを展開。

白:ナイト展開により、左右どちらにもキャスリングできる状態になりました。
このようにキャスリングの方向を相手に悟らせないことで、相手は「どちらにキャスリングしてくるんだろう・・・」と迷わせることができます。
場合によってはギリギリまでキャスリングを遅らせる選択肢もあります。

白:クイーンサイドにキャスリングし、ピース展開が完了しました。

この盤面では、Lichessレート1,200~2,000では白番の勝率が57%となっています。

<「4… d6」の場合の流れ>:
まとめ
スコッチギャンビットは仕掛けるチャンスが発生する場合が多いオープニングなので、練習しやすいオープニングです。主導権を握って攻めることができます。
サクリファイスやフォークなど派手で面白いムーブをプレイできる可能性が比較的高いオープニングです。
スコッチギャンビットで攻撃的なチェスを楽しみましょう!😊

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