はじめに

「相手の狙いや計画を止める」のは重要な戦略の1つです。
自分がしたいことだけでなく、相手がしたいことにも注目しましょう。
相手の良い手を止める方法を考えれば、過去の名プレイヤーのような手を指せるようになります!
相手ビショップの利きを発生させない・止める

遠くからダイアゴナルを支配するビショップは強力です。
相手のビショップの利きが発生しないよう閉じ込めておきましょう。
そうすれば、相手のビショップは機能しません。
<ビショップをポーンで止める>

・相手のビショップを相手のポーンの後ろに閉じ込める
・自分のポーンによって利きを遮断する
など、相手のビショップを活用指せない方法を考えましょう。
止め方としてはポーンブロッケードも1つの手です。
以下の記事で解説しています。
相手を行きたいマスに行かせない

相手のピースが行きたい場所を攻撃しておくのも1つの手です。
オープニング、ミドルゲーム、エンドゲーム問わず使える考え方です。
<エンドゲームの例>
何もしないとポーンを相手のキングに取られますが・・・

ポーンを進めてキングの侵入経路をブロックする手があります。

相手に弱点除去をさせない

弱点には、以下が例としてあります。
・バックワードポーン
・孤立ポーン
・弱いマス(ポーンによって守られていない)
ポーンを前進させることで、その弱点となるポーンを交換するという戦略があるので、それを防ぎましょう。
弱点を除去させなければ、相手の弱点を狙う戦略をとれます!
相手にダブルポーンを活用させない

ダブルポーンは1つのファイルに2つのポーンがあるため、前にあるポーンを使ってポーンブレイクするなどの戦略が考えられます。
ダブルポーンをプッシュさせないためにポーンブロッケードするなど、活用指せない選択肢も考えてみましょう。
相手にハーフオープンファイル、オープンファイルを与えない
ハーフオープンファイル、オープンファイルは、相手を攻撃するのに効果的な形です。
相手が有効に活用できるハーフオープンファイル、オープンファイルができそうなら、避ける手を検討しましょう。
<ビショップ交換をさけて、有効な攻撃に使われるハーフオープンファイルをつくらせない>
自らビショップ交換をすると、eファイルをハーフオープンファイルにして相手に与えてしまう。

相手にスペース拡大をさせない
スペースがあるとピースを活用できます。行き先が増えるからです。
したがって、相手がスペース確保するのを防ぐ手が有効です。
<例1>
bポーンを突かせない手。クイーンサイドのスペースを取らせない。

<例2>
Robert James Fischer vs Joaquim Manuel Durao
aポーンを突かせない。

相手の狭さを解消させない

特に相手が黒番の場合は、ポーンを進めにくいため相手がスペース不足に苦しむ場合があります。
自分がスペースを取れており相手が窮屈なら、ピース交換を避けることを考えましょう。
<相手は交換できないと・・・>
駒が狭い場所に詰め込まれ、行きたいマスに自分の駒がある状態になり、最善の手を指せない状態になります。
相手のパスポーンを進ませない
ポーンブロッケードして、パスポーンが動けない状態にしておくのが良い手の1つです。
パスポーンは動きだけで何らかの問題を発生させます。
パスポーンを止めるためにピースを移動させると、攻撃のための動きができなくなるからです。
例1
ナイトでポーンブロッケード。

例2
物理的に止める意外にも方法あり。
複数の駒でマスを守り、ポーンを進ませない。

相手にキャスリングさせない

相手にキャスリングさせなければ、キングをセンターに残させたり、ルークを活用しにくくできます。
相手のキングを攻めやすくなるよい手になりやすいです。
1:ビショップ/クイーン/ナイト/ルークを使って、相手キングがキャスリングで通る道を攻撃することができないか考えてみましょう。
2:キングをチェックして動かすことができれば、キャスリングの権利を奪えます。チャンスがあれば狙ってみましょう。
相手のピースを良いマスにいさせない

良い位置に相手のピースが配置された時、それを使って攻撃を仕掛けられる可能性があります。
特にこちらの4ランク分の陣地内に相手ピースが入ってきたら・・・
・攻撃して追い返す
・交換して無力化する
ことができないか考えてみましょう。
例えば・・・
・自陣に影響してくるナイト
・キングの正面など、危険な位置にいるクイーン
・ピンをしてくるビショップ
・前に出ているルーク
など、危険に敏感になって相手のピースをより悪い位置に追いやることができないか見てみましょう。
「相手のピースを自陣に放置しておいて問題ない」と思っていても、ピースの組み合わせで問題が起こる場合があります。
危険の芽🌱取り除いておくと、後で困りません。
相手に有効なポーンブレイクをさせない
ポーンブレイクをさせなければ、相手は局面を打開する手段が限られます。
相手に有効なポーンブレイクがある場合、それを阻止する手がないか考えてみましょう。
ポーンやピースを活用して、ポーンブレイクの可能性のあるマスを複数の駒で狙っておくことで、ポーンブレイクを防ぐことができます。
※ただし、「相手が自分から不利になるポーンブレイク」は止める必要はありません。
相手にカウンタープレイ(反撃)させない
「有利だから、これくらいなら相手に許しても大丈夫か・・・」と思うこともあるでしょう。
チェックメイトできるならそれでもOKですが・・・
チェックメイトできない場合は、相手の小さなカウンタープレイ(反撃)を許すと局面が複雑になり思わぬ展開に入ってしまうこともあります。
自分が勝勢なら、相手にカウンタープレイのチャンスを与えないために、小さな反撃の可能性すら全てつぶすことも考えておくとよいでしょう。
<例>
・相手のしたい動きを制限する
・相手から反撃を受ける可能性のある手を避ける
・反撃の手段をすべて止める
なかなか無慈悲な考え方ですが、これによって勝利がより確実なものになります!
さいごに
相手のしたいことを止める力をつけるために、以下のように進めましょう。
●まずは「良い手」を知りましょう。
1:チェスにおける良い手を知りましょう。(チェスの原則を知る)
2:自分から仕掛ける「戦略」をできるだけ多く身につけましょう。
●戦略的に良い手を知ったら、それを止める手を実戦で試しましょう。
3:1・2で知った良い手を相手が指そうとします。それを止める練習をしましょう。
「頭の中で知っている」のと「実際にやる」とのでは勝手が違うので、実戦で試しましょう。
●棋譜並べも活用しましょう。
今回紹介した以外にも「相手のしたいことを止める例」はたくさんあります。
戦略に関して優れていた過去の名プレイヤー「クラムニク、カルポフ、ペトロシアン、カパブランカ、ニムゾヴィッチ」の棋譜から学ぶのもおすすめです!😊

Chess Secrets:: The Giants of Strategy: Learn From Kramnik, Karpov, Petrosian, Capablanca And Nimzowitsch (English Edition)