ポーンブレイクとは?
ポーンブレイクとは、ファイルやダイアゴナルをオープンにするため、相手のポーン構造に攻撃を仕掛けるためにポーンでポーンを攻撃する動きのことです。
文字だけだとわかりにくいので例を見ていきましょう。
<フレンチ・ディフェンスのこの手もポーンブレイク>
ポーンブレイクの効果
局面をオープンにできる
ファイルやダイアゴナルをオープンにできれば、ルークなどの強力な駒を活かしやすくなります。
ポーンに対してピースだけで攻めると、攻め手が限られます。
ポーンブレイクをすることで、価値の高いピースを失うことなくファイルをオープンにできる可能性があります。
ピースをアクティブにできる
ポーンブレイクにより、ポーンを交換するとピースの通る道を開くことができます。
チェスにおいてはピースの利きが止められていないことが一つのポイントです。
ラインを開くポーンブレイクが有効であるとわかります。
<塞いでいるポーンへのポーンブレイク>
ポーンブレイクすることでルークとビショップが働くようになります。
スペースを確保できる
ポーンを突くとそれだけポーンの後ろにはスペースができます。
スペースができた分、ナイトやビショップなど最適な位置に置ける可能性がでてきます。
自陣が狭いと思ったらポーンを前進させてスペースを確保することを考えてみましょう。
<スペースを確保できる>
スペースの大切さについてはこちらで解説しています。↓
相手のポーン構造を乱せる
ポーンブレイクは、ポーンチェーンを乱す・弱点を発生させる効果があります。
相手のきれいなポーン構造はそのままだと厄介です。
相手にポーンチェーンがある時、きれいなポーン構造がある時などは・・・ポーンブレイクで乱すことを常に考えておきましょう。
<キング前のきれいなポーンを乱す例>
相手がgポーンで取っても、gポーンを前進させても、放置してもポーン構造を乱せる。
マヌーバリングとの組み合わせ
ポーンブレイクを使ってポーン構造を変えることで、マヌーバリングによって到達したいマスを作り出せます。
ある程度チェスに慣れてくるとまず「マヌーバリング」だけにとらわれがちですが、ポーンブレイクと組み合わせることでより良いマスにピースを置けるようになります。
マヌーバリングをしようと思った時には、ポーンブレイクとセットで考えるといいですね。
<ポーン構造が変われば動ける場所も変わる>
・cポーンへのポーンブレイクで、d5へナイトが入れるようになる。
マヌーバリングについてはこちらで解説しています。↓
ポーンブレイクが有効な局面
駒展開で先行している時
駒展開で先行している時はポーンブレイクを考えたい局面の1つです。
例えば以下のように駒展開で先行している時、局面をオープンにできれば相手のキングを中央に残したまま戦いを始められます。
<駒展開で先行している時のポーンブレイク>
展開のピース数で有利、相手はキャスリングまで2手かかります。
相手のポーン構造を乱したい時
相手のポーン構造を乱そうとする時にピースを使おうとすると、サクリファイスなど比較的思い切った手が必要になります。
ポーンブレイクを使えば最も価値の低い駒を使ってポーン構造へプレッシャーを与えられるのが良いところです。
ポーンブレイクに関するコツ
自分のピースだけアクティブする
ポーンブレイクを判断する際は、自分のピースが「動き回れるようになるか」チェックしましょう。
逆に相手のピースをアクティブにしてしまうのはよくないパターンです。
相手の手助けをしてしまわないか確認してからポーンブレイクをしましょう。
ポーンブレイク後の狙いを柔軟に
ポーンブレイクをする際は、
・ポーン構造を乱したい
・弱点を作り出したい
などの狙いがあると思いますが、
ポーンブレイクを仕掛けた後に狙いを変更して
「スペース確保などのため、さらにポーンを前進させる」
という手もあります。
局面によって柔軟に対応しましょう。
相手からのポーンブレイクは、「有効なもの」だけ止める
●相手にポーンブレイクの可能性があり、それが強力な手なら、ポーンブレイクされないように事前に止めましょう。
相手のやりたいことをさせない手は、チェスにおいて有効です。
●相手のポーンブレイクの結果が良くないとわかっている場合は、相手のポーンブレイクを阻止しなくてもOK。
ポーンブレイクは重要ですが、タイミングを間違えると成功しません。
相手が間違ったポーンブレイクをし、こちらのピースがアクティブになるなら優位に立てます。
ポーンブレイクがないとどうなる?
No Pawn Lever – No Plan
※補足:Pawn LeverはPawn breakのこと。
「ポーンブレイクがなければ、有効なプランを立てにくい。」という意味です。
グランドマスターであるAxel Smithの本、
の中の言葉です。
相手にポーンブレイクがあり、自分にない場合、相手のポーンブレイクでの仕掛けを待たなくてはなりません。
また、自分の駒をアクティブにする機会がなくなり、攻撃の選択肢が減るため有効なプランを立てにくくなります。
さいごに
ポーンブレイクについて、雰囲気はつかめたでしょうか?
ピースだけで戦おうとすると局面を打開できないことがありますが、ポーンを使えばピースをサクリファイスすることなくファイルやダイアゴナルを開けるメリットがあります。
「相手のポーンに自分のポーンをぶつけたらどうなるか?」と対局時に意識してみると、ポーンブレイクの感覚が徐々に身についていきます。
まずは実戦でポーンブレイクを狙うことから始めてみましょう。😊
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